四谷メディカルキューブ 婦人科医 保母るつ子のホームページ

婦人科の腹腔鏡手術を分かりやすくお伝えするコラム

← 2006年6月 →

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
My Yahoo!に追加 RSS

2006年6月30日(金)

腹腔鏡下子宮全摘術 最終確認!

 通常の子宮全摘術では、子宮を摘出した後「やっと終わった」という安堵感につつまれます。しかし、子安式子宮全摘術では、その安堵感は「尿管に損傷なし」を確認するまでおあずけです。最初にお話したように子宮動脈は尿管と接している箇所があるため、子宮全摘術の合併症の一つに尿管損傷があります。ですから、チーム子安では尿管を損傷していないか、術中に確認をすることにしています。その確認方法は、膀胱の中をのぞき、尿管口から勢いよく尿がでることを確認すればOKとします。写真は、膀胱の中をのぞいているところです。


膀胱内を尿よりも比重の高いブドウ糖液で充満させておくと、尿管から出てきた尿が柱のように見えます。

作成者 ruthhobo : 2006年7月1日(土) 15:18

2006年6月29日(木)

出来上がりです!

 子宮と膣を切り離した後は、膣壁を縫合すれば出来上がりです。この縫合は非常に高度な技術を要します。例えば、手で何かを縫う時、縫う方向は横方向ですよね。でも、縦方向に縫うのは至難の技とだと思います。それと同じで、内視鏡下でも縦方向に縫うのは高度な技術が必要です。ちなみに、先日わがメディカルキューブに着任された肥満手術の専門家の笠間先生は、内視鏡下で腸管を縫合するのが非常に早いのですが、その秘訣をきいたところ、指サックを縦にならべて縫う練習をしたということでした。最近、私も指サックを使って、コソコソ練習をしています。

作成者 ruthhobo : 2006年6月29日(木) 21:04

2006年6月28日(水)

とうとう子宮を摘出します

 子宮を支えている靭帯を前回紹介した「リガシュア」という器械で切り離していくと、最後に残るのは子宮と膣だけになります。子宮と膣をはずす方法は、お腹の中から切除する方法と経腟的に切除する方法の二つがあります。この写真はお腹の中で膣と子宮を切り離している図です。腹腔鏡ではお腹の中に炭酸ガスを充満させていますので膣にメスを入れた瞬間、膣から充填していた炭酸ガスが外に漏れ出て、視野が確保できなくなります。それを解決したのが「子安式膣パイプ」です。これを使うことで、脱気(ガスが抜けてしまうこと)防止にもなりますし、子宮を切り離す際に切開創がよく確認できます。

作成者 ruthhobo : 2006年6月29日(木) 01:11

2006年6月22日(木)

子宮を支える靭帯を切る

 子宮動脈を攻略したあとは、残す卵巣と切り離す子宮を切断していきます。卵巣側から子宮へは血流がきているので、子宮と卵巣を切り離すとさらに出血する確率が減っていきます。写真は「リガシュア」という、優れた器械で切断しているところです。今までは、子宮と卵巣を切り離す場合、結紮(糸で強く結ぶ)して確実に止血してから切り離していましたが、このリガシュアという器械は、結紮するのと同時に切断してしまうので、あっという間に処置が出来てしまいます。便利ですねえ〜〜〜

作成者 ruthhobo : 2006年6月23日(金) 20:35

2006年6月16日(金)

子宮動脈から攻略せよ!

 写真は両側子宮動脈を露出させているところです。子宮全摘術では、開腹手術でも尿管を傷つけないよう、非常に気を使います。尿管は後腹膜腔(お腹の後ろ側の空間)にあるため、直接確認することはできません。そこで開腹手術では指でつまみ、指先の感覚で尿管の走行を確認します。しかし、腹腔鏡手術では指先の感覚に頼ることが出来ません。そこで、逆転の発想で、尿管が子宮動脈と伴走するあたりを探します。そうすれば尿管の走行を確認することができるだけでなく、子宮への栄養血管を発見することが可能で、出血も少なく手術が安心して行えます。一石二鳥の手法なのであります。

作成者 ruthhobo : 2006年6月17日(土) 07:23
前の記事  |  次の 3 記事