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コラム
台湾・中国 中根レポート

FPD業界再編を読む(1)松下電器のIPSアルファの第8世代投資,PDPと液晶の両建てに

2008/03/25 11:41

松下電器がIPSアルファへ出資,第8世代工場建設を正式発表


 松下電器産業と日立製作所は,液晶ディスプレイ事業における包括提携に関し,最終契約を締結した。松下電器は3月末までに日立から日立ディスプレイズの株式を24.9%譲り受け,諸条件が整い次第,2年以内をメドに,(1)日立ディスプレイズが保有するIPSアルファテクノロジの全株式(発行済株式数の50%)および,(2)日立ディスプレイズの保有する大型IPS液晶パネル付随事業を660億円で取得することで合意した。その際,日立はIPSアルファに10%を上限に出資することを検討している。

 2008年3月末時点のIPSアルファの株主構成は,日立ディスプレイズが50%,松下電器が45%,その他が5%と,日立ディスプレイズがIPSアルファの過半数を保有するが,米国会計基準上,IPSアルファは2008年3月末をもって松下電器の連結子会社となる。

 松下電器とIPSアルファは,「液晶パネル新工場建設に関する緊急会見」を開催し,新工場の概要と,IPS方式の優位性について説明した。新工場の概要は以下の通りである。(1)建設予定地は兵庫県姫路市,(2)着工は2008年8月,生産開始は2010年1月,(3)約3000億円の投資資金は松下電器が提供,(4)基板サイズは第8世代(2200mm×2500mm),(5)生産能力はフル稼働時に32型パネル換算で約1500万枚/年,(6)新工場では32型の生産が主体,40型台の生産や外販も視野に入れる。

 IPSアルファ全体(既存の茂原工場も含む)の生産能力は,2008年9月の600万枚(予定)から2013年に2100万枚の予定となる。IPS方式の優位性については,「材料コスト・工場投資等の面でVA方式に比べて優位性があるため,IPSアルファの工場だけが永遠に減価償却が続くと仮定しても,コスト面で他社に勝てるとの前提で考えている」と説明した。

本当の生産能力は・・・


 松下電器は,生産能力について「フル稼働時に32型換算で1500万枚/年」と発表した。筆者は,フェーズ1が2009年第4四半期の量産で4万5000枚(もしくは6万枚),フェーズ2がそれぞれ1年後で4万5000枚(もしくは6万枚),全部がフル稼働となるのは2011年第2〜3四半期と想定している。同社の「フル稼働時」は9万〜10万枚を指していると仮定すると,12カ月のガラス基板投入は108万〜120万枚となる。同社の第8世代パネルは2200mm×2500mmであり,32型は18面取りである。歩留まりを90%と仮定しても,年間生産能力は1750万〜1940万枚となり,同社の発表よりも多い。同社は,面取り数を保守的(15枚)で見ているのか,分母が9万枚以下としているのかは不明であるが,9万〜10万枚分の装置が納入されれば,同社の発表以上の生産能力が得られることは間違いない。

中根 康夫=ドイツ証券
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