大型倒産速報

倒産・動向記事

2008/03/25(火) 投資業
相互タクシ−株式会社
破産手続き開始決定受ける
負債240億8400万円

TDB企業コード:580041347

「福井」 相互タクシー(株)(資本金6億2007万5250円、勝山市片瀬58-1-3門前町25番店舗、代表多田精一氏)は、3月10日に福井地裁へ自己破産を申請し、14日に破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は、宮本健治弁護士(福井市春山1-8-2、電話0776-27-7752)。財産状況報告集会期日は7月8日午前10時50分。

 当社は、1925年(大正14年)9月に設立され、56年1月に大阪相互タクシー(株)から現商号に変更、74年3月にタクシー事業を分離した資産運用会社。88年1月に大阪市城東区から勝山市に本店を移転した。グループ会社の中核としてグループ各社の不動産管理、有価証券投資、関連企業への投資および貸付業務などを行い、ピーク時の89年9月期には法人申告所得359億円を申告していた。また前代表の故・多田清氏は「関西のタクシー王」と呼ばれ、関係会社の相互不動産(株)(勝山市)が87年に同氏の出身地である福井県勝山市に、当時奈良の大仏を凌ぐ日本最大の「越前大仏」を落慶。以後ホテルや五重塔、勝山城などを次々と新築して一大観光施設をオープンさせた。

 しかし、バブル景気崩壊後、株価の低迷などから業績が悪化。さらに相互不動産(株)が運営していた越前大仏もオープン時の87年こそ約71万人の参拝客を集めたが、拝観料や駐車料金の高さなどから参拝客も当初予想を下回ったまま経過、ホテル部門も不振で投資負担を吸収できず大幅欠損が続いていた。同社に対し建設費などで約942億円を貸し付けており、その処理の問題で国税庁と対立していたが、2002年に最高裁で当社に対し213億円の追徴課税が確定。また経営不振から税金の支払いが滞るようになり両社名義不動産を県や市が差し押さえるなど業況はさらに深刻化していった。

 そのため、相互不動産(株)は2002年12月に越前大仏(大師山清大寺)の宗教法人化で寺の施設を寄付して経営から撤退し2005年12月に解散を決議。他の施設も譲渡して2007年1月に清算結了の登記がされたが、勝山市は市税の滞納を回収する見込みがなくなったとして五重塔や九龍殿などを公売に踏み切り、当社自体も近年営業実態がほとんどなく、滞納している多額の税金を支払うメドがたたないとして法的整理に至った。

 負債は債権者16名に対し約240億8400万円。

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