日本人の“食”を支えてきたアメリカ穀倉地帯が、大きく変わっている。石油の代替燃料として注目されるバイオ・エタノールの工場が続々と建設され、周辺のトウモロコシを買い集めているのだ。中国、インドなどの消費拡大にエタノール需要が加わり、さらに穀物相場にファンドマネーが流入。トウモロコシの価格はわずか2年ほど余りで2倍に上昇した。 この秋、穀物の相場は、以前の常識では考えられない動きをした。空前の大豊作が発表されたその日に、トウモロコシの価格があがり始めたのだ。「なりゆき買い」と呼ばれるファンドの買い注文が集中したという。アメリカでは、遺伝子組み換えで収量が多くエタノールの製造に適した新しい種の開発が進んでいる。サブプライム・ショックのあとには、大豆価格も急上昇している。 少しずつ日本の消費者にも影響が広がっている、穀物の世界の変貌ぶりをつぶさに追う。
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