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大阪府知事への提言

2008年03月25日

 県のセールスマン東国原宮崎県知事の活躍、庶民感覚で財政見直しに取り組む全国最年少の橋下大阪府知事の登場は地方政治・行政が日本を変える、そんな動きが始まったとさえ予感させられる。府県はもともと市単位より国の行政に近い組織である。そのため住民の意思とかけ離れやすくなる。両知事はその民意との距離を埋めてくれ、新しい知事像を示してくれている。

 西日本の一つの核である大阪府が財政見直しとなると、その影響は直接間接各方面に及ぶと思われる。しかし、財政的に新規の政策余地がなくなってきていること、自律的な成長力が弱まっている今日、財政の立て直しとそれに伴う有効な振興手段を模索するのは緊急課題である。

 ところで、明治以降、大阪は日本にとって何であったのか、どのような役割を果たしてきたのかを展望すると、その主要な答えの一つは自発的な地域振興を宿命づけられてきたことである。戦後も大阪は一貫して経済の地盤沈下に直面してきた。このため1956年に、大阪府、大阪市、学界、経済界など、オール大阪が一体となった大阪経済振興連絡協議会(事務局=大阪商工会議所内)が組織され、停滞要因を分析した「大阪経済振興方策の報告書」の推進にあたった。新大阪駅の位置の了承、大阪空港の整備拡充などのプロジェクトは利害関係のないこの協議会を通して行われた。その成果は70年万博ごろまで続き、この間、活気にあふれていた。しかし、その後は関西空港の開港(94年9月)以外、とくに見るものはなく、今日まで停滞を続けている。

 歴史は繰り返すものではないが、多くの教訓を示唆してくれる。経済も文化も流出が続く大阪の維新の節目に対応して、再度オール大阪一体の組織を作り、連帯意識を高め、改革力を確実なものにすべきではないか。(共生)

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