西尾理弘市長(左)に、出雲阿国座などの計画に反対する署名簿を提出する岸征男代表(中央)ら=出雲市今市町、同市役所 出雲市が同市大社町に四十二億円をかけて建設する伝統芸能の上演施設「出雲阿国座」など、市が計画する大型三事業に異議を唱える市民団体「出雲市を愛する会」の岸征男代表(64)らが十三日、同市役所を訪れ、二万五千人分の反対署名と出雲阿国座建設の凍結などを求める意見書を、西尾理弘市長に提出した。 署名活動は二月初旬に開始。約四十日間で、市内の有権者数の五分の一超に達した。 さらに、意見書では「多くの市民が出雲阿国座などの建設より、医療や福祉、教育、農業振興を優先すべきと考えている」と指摘。山陰自動車道の出雲インターチェンジ予定地近くの同市知井宮町と同東神西町にまたがる場所に計画される新ビジネスパーク、西谷墳墓群周辺の同大津町に構想される出雲弥生の森博物館の計画変更も求めた。 これに対し、西尾市長は「重く受け止める。見解は違うが、物別れにならないように努力しなければならない」と述べ、市民への説明に力を入れる姿勢を示した。一方で、特に、出雲阿国座について、観光振興に果たす役割の大きさを強調し、推進姿勢を崩さなかった。 岸代表は「市民の意見を無視することは許されない。一方的に説明会を開くだけで、合意が得られたと結論付けないでほしい」とクギを刺した。署名活動は継続し、累計で五万人分に達した時点で、再び提出する。 署名簿と意見書は同日、今岡一朗市議会議長にも提出した。