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ウィニーで地図取得容疑 兵庫県警巡査を書類送検へ

2008年03月24日15時57分

 ファイル交換ソフト「ウィニー」を利用して住宅地図最大手ゼンリン(北九州市)の著作権を侵害したとして、福岡県警は24日午後、兵庫県警の男性巡査(31)らを著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で福岡地検に書類送検する。県警は今月上旬、巡査の自宅を捜索し、押収した私物のパソコンに大量の同社製の地図データが保存されているのを確認。これらのデータをウィニーで入手し、他の利用者も取得できる状態に公開した疑いがあるとみている。

 ウィニーは、利用者同士がインターネット上で音楽や映像などを交換できるソフト。データを管理する特定のサーバーがなく、暗号化したデータを直接送受信するため、違法行為をしている利用者が特定されにくいとされるが、福岡県警は独自の検索法を開発して巡査を特定したという。

 県警生活経済課の調べでは、巡査は、ゼンリンの地図ソフトを他のウィニー利用者がダウンロードできる状態にし、同社が持つ著作権を侵害した疑い。調べに対し、事実関係を認め「意図的に著作権を侵害するつもりはなかった」という趣旨の供述をしているという。

 警察官のウィニー利用については、捜査情報の流出が相次いだことから、警察庁が06年3月、全国の警察に対し、利用を禁止する通達を出していた。

 著作権法は、個人的に楽しむための音楽や映像データのダウンロード自体は禁じていないが、それをインターネット上で送信可能な状態にすることは著作権の侵害に当たるとされる。

 ウィニーは取得したデータを自動的に、他の利用者も取得できるように公開してしまう性質があり、巡査は繰り返しデータを取得するうちに同法が禁じる「送信可能な状態」になっていたとみられる。巡査のパソコンからは、ウィニーで入手したとみられる地図以外の様々なデータも見つかったという。

 ウィニーをめぐっては京都府警が03年11月、映画やゲームソフトを送信可能にしたとして、自営業の男(当時41)ら2人を著作権法違反容疑で初めて逮捕。04年5月には、ウィニーを開発した元東大大学院助手を同法違反の幇助(ほうじょ)容疑で逮捕した。元助手は06年12月に京都地裁で罰金150万円の有罪判決を受けた後、大阪高裁に控訴して現在も公判中。

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