歌舞伎女形の中村芝雀が26日に東京・内幸町ホールで、「歌舞伎一人芝居 人魚の恋椿(こい)--やおびくに」(今井豊茂脚本、藤間勘十郎演出)を自主公演する。
人魚の肉を食べた女が永遠の命を得るという「八百比丘尼(やおびくに)伝説」を題材にした新作。若狭国の長者の娘は、人魚の肉を食べて永遠の若さを手に入れるが、恋人が年老いて亡くなっても、後を追って死ぬことができない。数百年後、美貌(びぼう)を保ち続ける娘の前に、かつての恋人に似た男が現れる。
昨年には落語家の林家正雀と落語の「芝浜」などを2人の「掛け合い噺(ばなし)」として表現する「すずめ二人會(かい)」を開催。「歌舞伎から逸脱しない」ことを基本に、新しい試みを続けている。
今回は、歌舞伎の女形を一人で演じることへの挑戦。竹本の語りに乗せ、不老不死となった娘の悲劇を描く。1部では舞踊「蝶の道行」(中村京由(きょうゆき)、中村京純(きょうすみ))、「藤娘」(中村京珠(きょうじゅ))が披露される。
公演は午後2時半、6時半の2回。問い合わせは090・5996・4434へ。【小玉祥子】
毎日新聞 2008年3月24日 東京夕刊