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排ガス微粒子:長期吸引で肺がん死亡率1.3倍

 ディーゼル車の排ガスなどに含まれる微小粒子状物質(PM2.5)について、環境省は24日、長期間吸い込むことで肺がんによる死亡率が約1.3倍になるという国内初の大規模調査結果をまとめた。循環器疾患やぜんそくなどの呼吸器疾患による死亡率増加については「関連はみられなかった」とした。

 宮城、愛知、大阪3府県の40歳以上の男女計約10万人が対象。1982~85年に生活習慣などを聞き取り、その後10年間追跡調査した。その結果、都市部では農村部に比べ、肺がん死亡率が男性で1.4~1.5倍、女性で1.1~1.9倍だった。大気中の浮遊粒子状物質の測定値から、PM2.5濃度を推計し関連を分析したところ、PM2.5が大気1立方メートル中10マイクログラム増えると、死亡率が1.2~1.3倍になることが分かった。

 肺がんの死亡率は喫煙で3.7~9倍になるとされ、環境省は「PM2.5の危険性は喫煙に比べて大きいものではないが、長期間さらされることで肺がんの発症要因の一つとなることが示された」と説明している。

 米国でPM2.5規制の根拠となった同様の調査は、肺がんに加え動脈硬化など循環器疾患の死亡率も増えるとし、日本の結果とは異なる。環境省は「アジアでは脳血管疾患が多いなど循環器疾患の表れ方が違うことや、生活習慣の違いなども関係する可能性がある」と説明。24日開かれた同省の専門家検討会では「微小粒子状物質は総体として健康に一定の影響を与えている」と有害性を認めた。同省は今後、国内規制策を検討する。【山田大輔】

 ▽PM2.5 大気中に浮遊する直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子。粒子が小さいため肺の奥深くまで吸い込まれ、発がん性のある有害物質も多く含むとされる。ディーゼル車の排ガス中に多く、米国や世界保健機関は規制値を設定。国内でも昨年4月、衆院環境委員会で「早期に環境基準の設定を行うこと」と付帯決議されている。

毎日新聞 2008年3月24日 20時33分(最終更新 3月24日 20時34分)

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