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ここから本文エリア 大野病院事件 禁固1年求刑2008年03月22日 午後1時半から5時間にわたって論告要旨を読み上げた最後に、検察側は、産科医の加藤克彦被告(40)に禁固1年、罰金10万円を求刑した。県立大野病院で04年、帝王切開の手術中に女性(当時29)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた加藤被告。時折、耳を赤くしながらも、手元に置いたA4判で165ページに及ぶ論告要旨を黙って読んでいた。 論告で検察側は、女性の胎盤が子宮に強く癒着しており、クーパー(手術用はさみ)を用いて無理にはがした結果、大量出血で死亡したと主張。加藤被告の法廷での証言が逮捕当時と食い違っていることを「責任回避のためのなりふり構わぬ態度だ」と指弾した。 また、弁護側証人の鑑定医が「適切な医療行為だった」と主張したり、癒着胎盤は予想できなかったと述べたりしたことには「前提となる資料が不十分」「医師会や学会が逮捕に反対する声明を出した後で、公正な証言とは言えない」などと反論した。 これに対して弁護側は、公判後の記者会見で「主張を維持するため、都合のいいところだけを文章にしたものだ」と批判した。 ◆論告要旨の主な部分 検察側の論告要旨のうち、主な部分は次の通り。 ●業務上過失致死罪の成立について 被告人は、産婦人科専門医として、帝王切開手術既往がある前置胎盤患者で、胎盤が前回の帝王切開創にかかっている場合の癒着胎盤の確率は24%とされていること、用手的剥離(はくり)を行っても胎盤を剥離することが困難である癒着胎盤の場合、胎盤を無理に剥離すると致命的な大量出血を来す危険があるため、直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出手術に移行すべきであることをいずれも学んで知っていた。 被告人は、胎盤の用手的剥離を開始した時点では、胎盤と子宮内壁との間に3本の指先を差し入れることができた。その後、1本の指先だけを胎盤と子宮内壁との間に差し入れて胎盤を剥離することを試みたが、間もなく、胎盤はガッチリと子宮に癒着しており、1本の指も入らなくなった。 被告人は、この時点までに、被害者の胎盤が子宮内壁に癒着していることを認識し、そのまま剥離を継続すれば、大量出血を引き起こす危険があることから、直ちに剥離を中止し、子宮摘出等の措置を講ずるべきであることを知っていた。 被告人は「剥離を継続しても大量出血しない場合もあり得るだろう」などと安易に考え、クーパーを用いた胎盤剥離を開始した。 ●予見可能性について 被告人は、遅くとも自己の右手指を被害者の子宮と胎盤の間に差し入れて被害者の胎盤を用手的剥離した時点で、被害者の胎盤が子宮に癒着していることを認識した。 帝王切開手術既往で前置胎盤の場合に癒着胎盤の頻度が高くなることや癒着胎盤が大量出血の危険性のある危険な疾患であることは、基本的な産婦人科関連の医学書には必ず記載されている基本的な事項である。被告人においても、本件当時、帝王切開手術既往で前置胎盤の場合に癒着胎盤の頻度が高くなることや、癒着胎盤が大量出血の危険性のある危険な疾患であることは当然認識していたと考えられる。 ●癒着の範囲 被害者については、子宮後壁のみならず、子宮前壁にかけて癒着胎盤がみとめられる。 ●子宮摘出手術に移行すべき注意義務について 被告人は強度な癒着胎盤を認識した時点で、胎盤の剥離を継続することによって被害者の生命に与える危険が非常に大きいことは十分に予測できたのであるから、胎盤剥離を中止し、子宮摘出手術などに移行すべき注意義務があった。 ●被害者の死因と被告人の行為との因果関係 被害者の死亡結果をもたらしたのは、被告人が癒着胎盤の剥離を継続し、胎盤剥離面から大量出血を生じさせたためであり、被告人の過失行為と被害者の死亡結果との間に因果関係が認められることは明らかである。 ●医師法違反の成立 本件被害者の死因は、被告人によって敢行されたクーパー使用もともなった癒着胎盤の無理な剥離行為により惹起(じゃっき)されたものである。したがって、死因は被告人の過失行為に原因する失血死であり、異常死に当たることは明らかである。 マイタウン福島
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