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二式飛行艇

 

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二式飛行艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2007/06/03 01:11 UTC 版)

二式飛行艇(Kawanishi H8K)
二式飛行艇(Kawanishi H8K)

二式飛行艇(にしきひこうてい)は、旧日本海軍第二次世界大戦中に実用化した4発大型飛行艇。初飛行は1941年。レシプロエンジン装備の飛行艇としては世界最高の性能を誇り、現在なお凌駕する機体は出ていないともされる。通称は二式大艇(にしきたいてい、にしきだいてい)。二式大型飛行艇とも言う。なお、輸送型は晴空と呼ばれていた。先発の九七式飛行艇と共に川西航空機で生産された。 連合軍側の呼称、Kawanishi H8K "Emily"。

目次

要求性能

二式飛行艇の前の制式機である九七式飛行艇は当時の列強の飛行艇の水準を越えた優秀機だった。長い翼を持った4発飛行艇で、最大速度は385km/時・魚雷2発を搭載した攻撃ミッションでの航続距離は約5000kmだった。二式飛行艇は、九七式飛行艇の後継として当時の飛行艇の水準をはるかに上回る性能が要求された。海軍の要求性能の一部を列記する。

  • 最高速度…444km/時以上
    当時の主力戦闘機九六式艦上戦闘機と同等。同時期の英国4発飛行艇サンダーランドの最高速度336km/時と比べると100km/時以上速い。
  • 航続距離…偵察時7400km以上、攻撃時6500km以上
    いずれも一式陸攻B-17の5割増。
  • 20mm機関砲多数を装備した強力な防御砲火、防弾装甲。
  • 良好な操縦性

誕生まで

飛行艇はそもそも荒れる海面からの離水を想定したハンディキャップを持った機体であった。(反面、離着陸距離の制約が少ない)海軍の要求は、当時の飛行艇にとって無いものねだりに近い過酷なものであった。製作担当の川西飛行機は、九七式飛行艇を設計した菊原静男技師を設計主務者に任命し、設計制作を行った。二式飛行艇の技術的特徴を列記する。

  • エンジンは当時最強だった三菱の火星シリーズを選定
  • 細長い主翼と狭い胴体。主翼のアスペクト比(主翼の付け根から先端までの長さ(翼長)平均翼弦長で割った値、主翼の縦と横の比率・細長さを示す指標)は9に達し航続力と速度の調和を図った。一般の飛行艇の胴体は、着水時の安定性を考慮し幅広に作られていたが、本機では空気抵抗を減らすためスマートになった。
  • 零式艦上戦闘機と同じ超々ジュラルミンの採用
  • 操縦性を良くする親子フラップの採用
  • 胴体前部下面の波消し装置(通称かつおぶし)の採用

活躍

ガブツ島で撃墜された二式飛行艇
ガブツ島で撃墜された二式飛行艇

大型高速で充分な防御火器を装備した本機は連合国パイロットからフォーミダブル(恐るべき)機体と呼ばれた(英国航空評論家ウィリアム・グリーン)。開戦直後の1942年3月には、大航続力を生かして3機で真珠湾を再空襲した(K作戦)。その後も高速と航続力を生かして太平洋各地の偵察・爆撃に活躍した。しかし、戦況が悪化して制空権が奪われると敵戦闘機に攻撃される機会も増えた。いくら高速・重防御とは言っても戦闘機に攻撃されると弱く、戦争後期には多くの二式大艇が撃墜されており、終戦時には全滅状態に近かった。だが既に有効な編隊を組む事すら難しくなっていた日本軍多発機の中にあって、一式陸攻などに比べると遥かに連合軍にとって危険な相手だった。B-25B-17を積極的に追撃して撃墜したという逸話も残っている。

また、山本五十六のあとを継いで連合艦隊司令長官となった古賀峯一が移動中に遭難し殉職した時には二式飛行艇の輸送機型晴空に乗っていた(海軍乙事件)。

現在の二式飛行艇

展示される二式飛行艇:船の科学館(当時)
展示される二式飛行艇:船の科学館(当時)

全タイプ合計167機以上生産されたうち、終戦まで生き残ったのは4機。その中の詫間31号機がアメリカに引き取られて性能確認試験が実施され、圧倒的な高性能を発揮してアメリカ側を驚かせている。その後日本に返却され、長らく東京の船の科学館に展示されていたが、2004年4月末からは鹿児島県鹿屋市にある海上自衛隊鹿屋航空基地資料館に保管されている。

データ

二式飛行艇22型 H8k3

  • 全幅  38.328m
  • 全長  28.12m
  • 自重  18,570kg
  • 発動機 三菱火星22型 1850馬力 4基(一速馬力、1680馬力{高度2100m})
  • 最高速度 470km/時(高度5700m)「一一型433km、一二型454km、二二型470km、三二型420km{晴空}」
  • 航続距離 偵察ミッションで 7153km=一二型 8223km=二二型
  • 武装   20mm旋回銃5門、7.7mm旋回銃3門、

       魚雷または爆弾 2t(60kg×16または250kg×8または800kg×2)                       

設計主務者について

設計主務者である菊原静男技師は、その後海軍局地戦闘機「紫電改」の設計を担当。終戦後、川西航空機の後身である新明和工業で、再度国産飛行艇PS-1の制作に携わり世界最良のターボプロップ飛行艇を完成させた。

二式飛行艇に関する本

  • 長峯五郎 『二式大艇空戦記—海軍八〇一空搭乗員の死闘』
  • 碇義朗 『最後の二式大艇』
  • 日辻常雄 『最後の飛行艇』
  • 木下悦郎ほか 『炎の翼「二式大艇」に生きる』

二式飛行艇が活躍する小説(含仮想戦記)

関連項目

外部リンク


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