平成１５年秋、二式大艇を鹿屋に移送する準備であわただしい東京船の科学館の正面前に時ならぬ人の列があった。正面玄関横には錆の浮き出たぼろぼろの漁船らしからぬ船体があった。これこそ世間を驚愕させた北朝鮮工作船である。
平成１３年１２月２２日海上保安庁が九州西南海上で銃撃戦を展開し沈没した工作船である。この工作船についてはニュースで取り上げられており改めて説明することもないが実物をみると本当にトンでも船である。これは船というより戦闘艦でありよく巡視船が無事であったと思うようなしろものである。
船体は鋼鉄製で全長３０�檀�５�辰△蠹�然重いからエンジンなどロシア製ディーゼルエンジン４基装備で4400馬力通常の漁船の十倍の馬力があるがそれで33ノットでる。船体に収納されている小型ボートなどスウェーデン製エンジン３基装備で900馬力約50ノットでる。展示されている２連装機銃、ロケットランチャー、地対空ミサイル、軽機関銃、自動小銃などなど映画の世界が現実として目の前にある。巡視船の20ミリ銃の貫通痕など船首付近に残っているがそれも船体に直角にあたった場合であり斜めからだとへこみの痕が生々しい。巡視船の任務は海上警備であり戦争をするのが目的ではない。こんな船を相手にしては命がいくつあっても足りるわけがない。
この世の中には我々のあずかり知れぬ世界がある。しかしここまで堂々とジェームズ・ボンド真っ青の演技をするとは。考えようによっては我々はずいぶんなめられた存在なのだと実感した。日本は憲法により戦争を放棄した。しかし自分自身の運命まで他国に委ねようとは思わない。自分の人生は自分で決める。簡単ではあるが実行は難しい。映画「亡国のイージス」とはうまいネーミングである。
“防衛大学を国費で4年通っても国を守ると言う事がわからない…“
この映画はﾌｨｯｸｼｮﾝである。しかし今の日本を見ている様でした。