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「工作船の可笑し」
<平成15年9月18日>

平成13年12月22日。
国籍不明の不審船が海上保安庁の停船命令を無視し逃走。不審船は巡視船「あまみ」「きりしま」「いなさ」に對して自動小銃・ロケットランチャーによる攻撃を行つた。巡視船「あまみ」「いなさ」も防衞のために應射。逃げ切れぬと判斷した不審船は行動隠避の為に自爆自沈した。
・・・世にいふ「奄美大島沖海戦」である(勝手に言つてみました・・・)

平成14年9月11日。6月に決定した引き揚げ方針に基づいて、作業に着手。不審船は遂に全貌を明らかにした。

・・・別に私にとつてはどうでも良いことである。端的に言へば。
日本人には海防意識が薄い、などと感慨深く思ふのも、正直飽きた。
これでも大日本帝國海軍に關してはそこそこの研究を行なつて來た人間だ。海軍の役割、海防の重要さに關しては重々承知してゐる。
・・・そこらの若者とは違ふのだよ(笑)

一般公開が行なはれてゐた。東京お台場の「船の科学館」にて。
なんでも、110萬人ほどが訪れてゐるらしい。一日平均で7000人だ。何を考へて見聞しにいつてゐるのだらう。私の樣な「變な趣味者」ならわかるが、それにしても一日7000人は可笑しい。

懐かしいお台場地区。新橋駅前は變貌し、ビルがニョキニョキと林立してゐる。「ゆりかもめ」からみる汐留地区に涙する。あぁ、こんなにも破壊されてしまつた、と。
何年か前。汐留では發掘作業が行はれてゐた。仙台伊達藩屋敷から新橋停車場まで、濃密な發掘が行なはれてゐた。發掘現場にも私は訪れた。あの時の自分は若かつた。まさかこんな開發が行なはれるなんて想像できなかつた。そして今。このビルを眺めて、往時を思ふ。あのときしつかりみておけばよかつた、と。
まつたく可笑しな光景であつた。

ゆりかもめ「船の科学館」駅。懐かしい想ひ出。二式大艇の想ひ出。「二式飛行艇を求めて・・・」といふレポを以前に書いた。私は好きだった。海軍の匂ひが。<今囘のは二式大艇の風景にて>

思はず駆けよる。工作船よりもよつぽど面白い二式大艇。
人の波と行列が工作船に流れるなかで、私は一人、脇目もふらず「二式大艇」に対面。そんな私も可笑しかつた。

駐車場には幾多の観光バスが竝び、全國各地からやつて來てゐた。間違ひなく「工作船效果」。船の科学館が平日にこんな集客力があるはずがない。
とりあへず見聞。ただ、この朽ちた船で記念撮影をする夫婦の思考も、大量に團體行動をする観光バスのご老体方の思考もわからない。
もちろん、私の樣な半端な若造は皆無。私は、彼ら彼女らよりもだいぶ冷めてゐた。

工作船
後部ハッチ
工作船
二連裝機銃
工作船
工作船搭載艇
工作船
工作船搭載艇
工作船
艦首側からみた艦底部分
工作船
機關室
工作船
操舵室
工作船
格納庫内部
工作船
陸奥主砲と工作船展示場
陸奥主砲は4番砲塔設置の45口徑三年式40センチ砲
ただし正確には41センチ砲
工作船
海上保安庁棧橋から工作船展示会場をのぞむ
左前が工作船。右前が陸奥主砲。
そして後が科学館本館(戦艦長門陸奥とほぼ同じ大きさ)
工作船
青函連絡船「羊蹄丸」内の第二展示場
工作船
青函連絡船「羊蹄丸」内の第二展示場


正直言つてつまらないだらう。私は面白かつたが、一般人が工作船をみて何を思ふのかがわからない。
日本國の海防の重要さを考へ直す、日本のおかれた地政学的宿命を見つめ直す、といふなら上出來だが。
良くて「北朝鮮つて・・・」な感想や、「わあ、こはい」なわけで。

工作船もみたし、第二展示場の武器やら無線機やらみた。
青梅客船ターミナルから日の出まで船で帰ろうかと思つたが、船は1時間以上待たねばこなかつた。致し方がないから「ゆりかもめ」で帰る。
よりみちは、新橋停車場跡・・・。



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二式大艇の光景

新橋停車場の名残