 北海道PCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物処理事業の海上輸送認可に向けた物流の山九(本社東京)と東日本フェリー(本社函館)の広域輸送試験が、17日から18日まで仙台市―青森市−室蘭市の間で行われた。18日夜にはPCB廃棄物の入っていない輸送容器1基を積んだトラックがフェリー「びなす」で室蘭港に到着。安全を確認後、室蘭市仲町の日本環境安全事業(JESCO)北海道事業所へ着いた。月内に海上輸送が認可される見通し。
東日本フェリーなどは2月初め、国交省に「PCB廃棄物船舶輸送のための特別措置」を申請。認可に向けた安全性確保、輸送技術確認、緊急時対応訓練の実施などを目的に、海上・陸上の総距離600キロで試験した。海上を含むPCB輸送試験は国内初。
17日に仙台市で実際の輸送に使う4トン規模の漏れ防止型金属容器を空の状態でトラックに積載し、青森市まで陸上輸送した。18日はトラックがフェリーに乗り込み、デッキ上にワイヤで固縛。午後1時半に青森港を出港し、船上で緊急時対応訓練などを行い、同8時すぎに室蘭市入江町の室蘭港フェリーふ頭に到着した。
フェリーからトラックが降り、同ふ頭駐車場で金属容器からインナートレーを取り出し、入れた水が漏れないかをチェック。安全を確認後、国道36号室蘭新道を通って仲町ランプで下り、午後9時50分ごろにJESCO北海道事業所に到着して、試験が終了した。
東日本フェリーと山九は今後、海上、陸上輸送時の振動、容器のゆがみなどの収集データを基に漏えい事故などの未然防止方法、積載方法などを検証する。東日本フェリーは「来月にも開始予定の国内初の海上輸送を安全・安心に実施するため、実証データを最大限活用していく」と話している。
【写真=金属容器から取り出したインナートレーに入れた水が漏れないかの安全チェック=18日午後8時50分ごろ、室蘭港フェリーふ頭】
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