事故車同乗で高次脳機能障害 運転者らに賠償命令 仙台地裁交通事故を起こした車に同乗して高次脳機能障害になったと、宮城県富谷町の20代男性と両親が車を運転していた同町の男性ら2人に総額約2億9600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は21日、被告側に計約1億4800万円の賠償を命じた。判決によると、事故は2001年10月、富谷町内で発生。被告の男性が時速110キロで乗用車を運転中にハンドル操作を誤り、道路左側の街路樹に激突した。後部座席に乗っていた原告の男性は頭を強打し、高次脳機能障害による言語・歩行障害などの後遺症となった。 伊沢文子裁判官は、男性は同障害により「1人で行ったことのない場所に出掛けたり、金銭管理を要する行為をしたりするには家族らの補助が必要。自発性の薄さや母親への強い依存が顕著で、現在の社会状況下で労働の対価を得ることは困難だ」と指摘。 労働能力を100%喪失したと認め、約9900万円の逸失利益や、将来の付き添い費用約2700万円などを損害算定した。 高次脳機能障害は交通事故や病気による脳の損傷で記憶力や集中力低下などを招く。自覚症状が薄く、外見から分かりにくい例も多いため、適切なリハビリや生活支援の対策が求められている。
2008年03月22日土曜日
|