◇普段通りのプレーで力を－－阪神選手・鳥谷敬さん（００年卒）

　－－センバツ出場をいつ知りましたか

　発表当日に球団担当記者から聞きました。関東大会でベスト４に入ったと聞いて期待していたのでうれしかったですね。自分たちが達成できなかった、センバツ出場の夢をかなえてくれて感激です。試合球か練習球をプレゼントしようと思っています。どちらが役にたつか、これから監督と相談します。

　－－当時の野球部の練習は

　岡本（幹成）監督は、今のように穏やかではなかったので、とにかく怖かったですよ。練習は厳しかったです。定休日もなかったですしね。よく覚えているのは、試合で点を取られた分だけ走り込みのメニューが増えることです。遠征に行って帰ってくると、数試合分の走り込みが待ってるんです。あれはきつかったですね。

　－－岡本監督は鳥谷選手にとってどんな存在ですか

　今でもシーズンオフにはよく一緒に食事に行きますよ。見てないようでよく選手のことを観察してくれている人ですね。高校卒業後に、プロ入りか大学進学か迷った時に、早大進学へ背中を押してくれました。その早大でプロへ進む実力がついたと思っています。中学時代、ごく普通の選手だった自分を鍛え上げてくれて、自分の野球人生を開いてくれた人です。本当に感謝してます。

　－－甲子園での思い出は

　他校の試合をスタンドから観戦していた時に聞いた歓声の大きさですかね。自分の試合の時の歓声はあまり覚えてないんです。試合に夢中になっていて耳に入っていなかったんでしょうね。試合内容では、ヒットを打ったことや救援投手を務めたこと以上に、悔しさが残ってますね。自分がホームに悪送球して、そこから逆転されましたから。今でも鮮明に投げた瞬間を覚えていますよ。

　－－当時の仲間との交流はありますか

　数年前の元日に、白血病で当時の野球部のメンバーが１人亡くなったんですよ。僕が早大時代、彼は闘病生活の中、球場へ応援に駆けつけてくれたこともありました。それ以来、毎年元日に飯能の居酒屋で集まってます。野球の話だけでなく近況などを談笑できる仲間です。高校野球で得た一番の財産です。

　－－後輩にエールを

　今のチームを詳しく知らないので、具体的なアドバイスはできませんが、甲子園だからといって特別なことをせず、普段通りのプレーをして、自分たちの力を出し切れば勝利はついてくると思います。優勝目指して頑張ってください。

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　■人物略歴

　◇とりたに・たかし

　１９８１年６月２６日生まれ。１７９センチ、８１キロ。右投げ左打ち。東京都出身。９９年夏に甲子園に出場した。早大に進学し、０１年春に東京六大学リーグ史上１１人目の３冠王を獲得。０３年に阪神に入団した。昨季は打率２割７分３厘、４３打点、１０本塁打。