(1) |
内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア |
生徒の発達段階を考慮し,抽象的で高度な内容や複雑な社会構造などに深入りすることは避けるとともに,各時代の特色を表す歴史的事象を重点的に選んで指導内容を構成することにより,細かな知識を記憶するだけの学習に陥らないようにすること。なお,年代の表し方や時代区分についても基本的な理解を得させるようにすること。 |
イ |
世界の歴史については,我が国の歴史を理解する際の背景として我が国の歴史と直接かかわる事柄を取り扱うにとどめること。 |
ウ |
歴史的事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。 |
エ |
国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて時代的背景と関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人物を取り上げることにも留意すること。 |
オ |
日本人の生活や生活に根ざした文化については,各時代の政治や社会の動き及び各地域の地理的条件,身近な地域の歴史とも関連付けて指導するとともに,民俗学などの成果の活用や博物館,郷土資料館などの見学・調査を通じて,生活文化の展開を具体的に学ぶことができるようにすること。 |
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(2) |
内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア |
アについては,小学校における学習を踏まえ,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。取り上げる主題は幾つかの時代にまたがるものとし,各時代ごとの細かな事象への深入りを避けるようにすること。 |
イ |
イについては,内容の(2)以下とかかわらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした文化に着目した取扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの活用も考慮すること。 |
ウ |
ア及びイについては,適切かつ十分な授業時数を配当すること。 |
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(3) |
内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア |
アの「世界の古代文明」については,中国の古代文明を例として取り上げ,生活技術の発達,文字の使用などに気付かせるようにすること。また,稲作が大陸から日本列島に伝わったことについて気付かせるようにすること。 |
イ |
イの「国家が形成されていく過程のあらまし」については,氏姓制度などの細かな事象に深入りしないようにすること。また,「東アジアとのかかわり」については,我が国との交流を扱い,東アジアにおける王朝の変遷などの詳細は取り扱わないこと。 |
ウ |
ウについては,律令国家の形成以後,それを変質させながら奈良の都や平安京において天皇・貴族の政治が行われたことをとらえさせる観点から取り扱うようにすること。その際,律令制の変質や律令政治の実態などに深入りしないようにすること。 |
エ |
エについては,代表的な事例を取り上げて,仏教の影響,文化を担った人々などに着目して取り扱い,網羅的な取扱いにならないようにすること。 |
オ |
考古学などの成果を活用するとともに,神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。 |
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(4) |
内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア |
アについては,武家政治の特色をとらえさせるようにし,「武家社会の展開」については,土地制度などの細かな史実や政治機構の詳細などに深入りしないようにすること。 |
イ |
イの「農村」については,徳政令,一揆(いっき)について網羅的な取扱いにならないようにするとともに,それらの内容に深入りしないようにすること。文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考えさせるようにし,網羅的な取扱いにならないようにすること。 |
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(5) |
内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア |
アの「ヨーロッパ人の来航」の背景については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革については深入りしないようにすること。 |
イ |
イについては,それまでの時代との違いを理解させることを中心にし,細かな史実に深入りしないようにすること。 |
ウ |
ウの「鎖国下の対外関係」については,オランダ,中国との交易のほか,朝鮮との交流や琉球の役割についても扱うようにすること。また,北方との交易をしていたアイヌについても着目させるようにすること。 |
エ |
エの「産業,交通などが発達」したことについては,身近な地域の特色を生かして学習することを中心にし,網羅的な取扱いにならないようにすること。また,「町人文化」については,代表的な事例を取り上げて特色を考えさせるようにし,網羅的な取扱いにならないようにすること。「地方の生活文化」については,身近な地域の事例を取り上げるよう配慮すること。 |
オ |
オの「社会の変動」については,商業の発達,百姓一揆などを農村の変化との関連で取り扱うが,高度な内容や細かな史実に深入りしないようにすること。「欧米諸国の接近」については,国内の対応を扱うにとどめること。「幕府の政治改革と政治の行き詰まり」については,代表的な事例を通して指導するようにすること。 |
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(6) |
内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア |
アの「市民革命」や「産業革命」については,代表的な一,二の国の例を取り上げて扱うようにすること。「欧米諸国のアジアへの進出」については,近代社会の成立の下,新たな市場や原料,植民地を求めてアジアにも進出したものであることを欧米諸国の事例を選んで取り上げるようにすること。ただし,これらは我が国の歴史を理解するための背景として取り扱うにとどめ,各事象の詳細にわたらないようにすること。 |
イ |
イの「明治維新」については,複雑な国際情勢の中で独立を保ち,近代国家を形成していった政府や人々の努力に気付かせるようにすること。「新政府の諸改革」については,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定を扱うこと。 |
ウ |
ウの「大日本帝国憲法の制定」については,これにより当時アジアで唯一の立憲制の国家が成立し議会政治が始まったことの意義について気付かせるようにすること。また,「条約改正」については,欧米諸国との対等の外交関係を樹立するための人々の努力に気付かせるようにすること。 |
エ |
エの「産業革命」については,都市や農山漁村の生活に大きな変化が生じたことに気付かせるようにすること。また,「近代文化」については,学問,教育,科学技術,芸術などの発展を扱い,その進歩が著しかったことや伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成されたものであることを,代表的な事例を取り上げて気付かせるようにし,網羅的な取扱いにならないようにすること。 |
オ |
オの「第一次世界大戦前後の国際情勢のあらまし」については,大戦の背景,日本の参戦,ロシア革命,戦後の国際協調の動きを通して,世界の動きと我が国との関連を重点的にとらえさせるようにすること。また,「我が国の国民の政治的自覚の高まり」については,大正デモクラシーの時期の政党政治の発達,民主主義思想の普及,社会運動の展開を扱うが,詳細な経緯は取り扱わないこと。 |
カ |
カについては,世界の動きと我が国との関連を重点的にとらえさせるとともに,国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気付かせるようにすること。 |
キ |
キについては,国民が苦難を乗り越えて新しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。 |
ク |
クについては,節目となる歴史的事象を取り上げて扱うようにすること。 |
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