◇SDカードかネット接続か--PCの使い方で選ぶ
春は引っ越しシーズン。最近は携帯電話があるので、固定電話は不要という人が増えている。一方で、利用頻度は必ずしも多くないが、あると便利なのがファクス付き電話だろう。総務省の06年通信利用動向調査によると、約半数の家庭がファクスを持っている。しかし年々、微減傾向のため、ファクスの保有率を上回るパソコン(PC)との連携性を高めて需要を掘り起こそうと、ユニークな製品が登場し始めている。
家庭用ファクスは、通話とファクスをメーン機能にしたタイプと、プリンターやスキャン機能を加えたファクス複合機の2タイプに大別される。複合機は多機能な分、活用度は高まるが、設置スペースをとりがちだった。
「スペースは抑えて、もう少し利便性を高めたい」というニーズに応えたのが、松下電器産業の「おたっくす KX-PW607DL」だ。同社が力を入れるSDメモリーカードを導入。そのままファクスとしても印刷できるが、SDカードをパソコンに移してプリンターで印刷したり、メールに添付することも可能になった。長時間の通話音声も保存できるので、防犯にも役立つ。
液晶画面で内容を確認してから、印刷するかどうかを選べる機能も備えており、紙やインクフィルムも節約できる。同社の最新ドアホンとリンクさせれば、来客と子機でも会話できる。
一方、ファクス送信とプリントアウトの機能を省き、「ファクスが受信できる電話機」をうたう「VE-GP62DL」も、SDカード対応ならではの機種だ。
NECが昨夏から販売している「ネットワークスピークス」シリーズは、その名の通り、インターネットに接続できるのが特徴だ。ファクス本体がメールの送受信機能を持ち、受信したファクスの内容をメールにして転送したり、外からメールした内容を印刷して見ることもできる。
特に最新機種「SP-NA640」はカラースキャン機能があり、紙に手書きしたものをメールとして送れる。同社は「手書きの温かみが、そのまま伝わる」とPRしている。
さらに、不審な電話を受けた際、通話時に録音し忘れても、通話の最初までさかのぼって録音できる機能があり、安心できる。
ただし、インターネット接続会社と契約し、LAN接続できることが前提になっているので、購入前によく確認してほしい。
いずれにしてもパソコンが設置されていることを前提にした機種が増えているので、自分がパソコンをどう使うかによって、選んだ方がいいようだ。【大道寺峰子】
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松下電器産業 メーカー名 NEC
おたっくす KX-PW607DL 製品名 ネットワークスピークス SP-NA640
296×191×86ミリ 本体寸法 幅×奥行き×高さ 297×224×111ミリ
SDカードの搭載により、 特徴 カラースキャン機能で、
ファクスや通話の内容を、 手書きの文書をメール送信できる。
パソコン上でも確認できる さかのぼり録音
2万5000円前後 実勢価格 3万2000円前後
毎日新聞 2008年3月23日 東京朝刊