サブプライムが高齢者襲う 投資信託元本割れに悲鳴2008年03月23日03時02分 株式や債券で運用する投資信託の苦情・相談が急増している。国民生活センターが集計した全国の相談件数は07年度、過去最高の約1000件に達する見通しとなった。米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題による株安で多くの投信の価格が急落、高齢者が「大幅に資産が減った」と訴える例が増えている。「元本確保」とうたいながら元本割れする商品もあるなど損失リスクが十分説明されていない例もあり、金融機関の姿勢が問われている。
同センターによると、投信の相談件数は集計を始めた00年度に491件だったが、06年度は約2倍の993件に増え、過去最高になった。07年2月末に世界的な株安が起きたため、年度末にかけて相談件数が急増した。 07年夏にサブプライム問題が表面化して世界株安が起き、投信価格が急落。日経平均株価は1万8000円台から今年3月には一時1万2000円を割り込むまで下落し、日本株で運用する投信の保有者は含み損を抱えているケースも多い。 このため、07年度の相談件数も増え、最新集計の2月中旬時点では806件に達し、06年度の同時期を128件も上回っている。3月も株安は進んでいることから、年度末にかけ相談件数はさらに増える可能性が高い。 相談者の年齢は70歳代以上が最多の4割。60歳代を加えると、全体の6割を占める。相談内容は「証券会社の説明で損のない投資と思ったが、大幅に資産が減った」「元本保証の定期預金を契約したはずが、実際は投信を契約していた」など。投信は元本割れもあるが、高齢者が説明を十分受けずに買った例が多い。 金融庁は昨年9月施行の金融商品取引法で、販売時の十分な説明や、広告での損失リスクの文字拡大などを義務づけた。しかし、実際は説明や広告に誤解を招きやすい表現があることも、トラブル急増の一因だ。 投信には「元本確保型」や「リスク限定型」と呼ばれる商品がある。「元本確保」は満期時の元本確保を目標に運用するが、元本割れの可能性もある。「リスク限定」は日経平均が一定範囲の下落まで元本が守られるが、大幅に下落した場合は元本割れの恐れがある。いまの株価水準が続けば、リスク限定型をうたう約200の投信のうち1割程度が元本割れになる見込みだという。 金融商品に詳しい南山大の吉本佳生・准教授は「リスク限定型でも元本割れのリスクはあり、元本保証の預金とは違う。投資で損をしたくない預金者が買いやすいように工夫された商品だが、注意が必要だ」と話す。 PR情報ビジネス
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