ニュース: スポーツ RSS feed
【スポーツコラム】危機感強まる北京五輪 (1/2ページ)
「西蔵」と表記されるチベットはヒマラヤ山脈の北、昆●山脈の南に位置する高原地帯。ライフルや弓矢、やりなどで標的を狙う騎射競技は伝統スポーツとして定着しており、重量挙げやレスリングなども人気がある。
「チベット五輪委」が中国とは別に、独自の選手団を北京五輪に送り込みたいと国際オリンピック委員会(IOC)に要求したが、却下されたのは昨年の12月だった。五輪に選手派遣できるのはIOCの承認を受けた国・地域のオリンピック委員会(NOC)に限られる。中国の自治区でIOC未承認のチベットは五輪に参加できない。
“締め出し”を見込んでか、チベット亡命政府の支持者らが今年5月に北インドでの「チベット五輪」開催をすでに決定していた。実施されるのはマラソンや競泳、射撃、アーチェリーなどで、チベット人だけでなく外国人参加も検討。スポーツへの関心は高い。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の報告によると、チベットの僧院では中国当局の「工作員」が力ずくで僧や尼僧に「愛国再教育」を行い、法王の写真所持を禁じている。多くの子供は適切な健康管理や就学の権利が与えられず、チベット人女性は不妊手術、避妊、中絶手続きを強要する対象にされている。中国の非人道的な侵略により自由を失ったチベット人の抵抗が「チベット五輪」の開催であり、今回の僧侶らによる騒乱となって吹き出した。
1980年モスクワ五輪ではソ連のアフガニスタン侵攻がきっかけで、西側諸国がボイコットした。米国に追従した形の日本も246人の選手団派遣を見送った。スポーツと政治が切り離せない関係であることを再認識した。
※●は山カンムリに倫のツクリ