中国のチベット自治区で抗議行動をきっかけに起きた暴動について、中国国内の反体制派の作家らが当局の対応について抗議する声明を出しました。
これは、中国国内の反体制派の作家、劉暁波氏や大学教授、法律家ら30人がネット上に発表したものです。
声明では、中国メディアによる報道が被害のみを強調していることに、「民族的な恨みをあおり、事態の緊張を招くだけ」と非難し、当局に対し、暴力による鎮圧を直ちに停止するよう求めました。
また、当局がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を首謀者と決めつけていることには「証拠を示すべき」と主張し、ダライ・ラマ14世を「人の顔をして獣の心を持つ悪魔」などと呼んで非難したことを、「文化大革命当時の言葉遣いで、事態の沈静化には役立たない」と批判しています。
そして、逮捕者については公開の場で公正に審判にかけるよう求め、「開放的な姿勢があってこそ、国際社会の不信感を転換させることができる」と呼びかけています。
こうしたなか、中国政府はチベット族が多く住む雲南省にも新たに軍の治安部隊を大量に派遣し、抗議行動の波及を警戒しています。また、中国の統治に対して不満がくすぶるウイグル自治区でも情報統制を進めている模様で、中国政府は少数民族の反発を力で押さえ込む姿勢を崩していません。
一方、中国共産党系のチベット日報は、チベット自治区を管轄する成都軍区の呂登明副司令官をチベット自治区ラサに派遣したと伝えました。成都軍区は近隣の雲南省や四川省なども管轄する中国の七大軍区の一つですが、司令官派遣は当局が暴動の鎮圧に軍を投入していることを認めた形です。(23日12:49)