土地所有権のないまま多くの在日コリアンが住む宇治市伊勢田町のウトロ地区で、地域との共生の願いを込めた看板作りが進んでいる。韓国政府の支援金などを基に、住民による土地買い取り後の日本の行政による町づくりを見据えた取り組みの一つだ。
子供からお年寄りまでが仲良く触れ合う様子を描くのは、在日2世の父と3世の母を持つ権〓美(クォンウミ)さん(35)=同市=。絵は趣味といい、住民に聞いた話や写真を参考にイメージを膨らませた。
地区内の在日高齢者向けデイサービス施設「京都コリアン生活センター エルファ」に勤め始めた4年前から、地区への関心が高まったという。「私は一貫して日本の学校に通ったが、住民たちは自身のルーツを大事にしている。情も厚く興味深い」と語る。
住民で2世の黄順禮(ファンスンレイ)さん(75)は「年齢や国籍に関係なく仲の良いウトロの雰囲気がにじみ出ている」という。権さんは「昨年末に取り外した看板は血文字みたいな赤で『強制執行反対』などと書かれ、ウトロは怖い所と言う人が多かった。親しまれる町のきっかけになれば」と話していた。【新宮達】
毎日新聞 2008年3月23日