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四、五年前に白山に登った。そこで“高齢者パワー”にあらためて脱帽した 五十歳目前の登山であり、これが最後と思っていた。登り始めてしばらくすると、老夫婦が後ろからやって来て「ご苦労さま」と言うと、軽い足取りであっという間にかなたへ行ってしまった。五十歳で限界とはお恥ずかしい限りだ 高齢化が進むと事故が増える。昨年の交通死者のうち高齢者の占める割合は統計が残る中で最も高くなった。高齢者の運転による死傷事故も年々増えており、認知症で高速道路を逆走する事故も多発している。立山町では昨年、八十二歳の男性が北陸道を逆走している 東京都内の企業や団体が、高齢者の自主的な運転免許返納を促すため協議会を発足させた。返納により飲食代金の割引など特典が受けられるという。苦肉の策なのだろうが問題は本人の自覚であろう 残念ながら体力や判断力が年齢とともに低下するのは避けられないことだ。人生の先輩としていつまでも元気な姿を見せていただけるのはありがたいが、引き際の模範を示すことは余人にできないことである。命を返納されては残されたものがたまらない。
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