75歳以上の人が従来の医療保険制度から4月1日に移行する「後期高齢者医療制度」に関する大垣市の議案が21日、市議会(定数26)の定例会で採決され、反対が4割にのぼる事態になった。かろうじて可決したものの、自民党系の自民クラブ(高橋滋幹事長、15人)の過半数が反対するなど、この制度に対する批判や不安が市議会で表面化したかっこうだ。
後期高齢者医療制度に関する議案は、事業会計予算案と市条例案。議長を除く25人で採決が行われ、賛成15、反対10だった。自民クラブは議長を務める市議を除く14人中、8人が反対した。議会関係者は「市が提出した議案に、これほど多くの反対が出たのは異例」と話している。
自民クラブは3月定例会初日の3日、「有無を言わさず年金から保険料が強制徴収されるこの制度は、高齢者に厳しすぎる。高齢者に大幅な負担をもたらす」として、廃止を求める国への意見書を提出していた。
自民クラブは「議案を否決したいのはやまやまだが、市民に不安や混乱を与えることは避けなくてはならない。8人は意見書通りに筋を通したが、6人は混乱を避けるために賛成した。苦渋の決断だ」と話していた。
小川敏市長は、議会閉会のあいさつで「後期高齢者医療制度については、高齢者に過度の負担にならないよう、国に対して十分な配慮を求める」と、国に働きかける方針を示した。
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大垣市議会の定例会はこの日が最終日で、この2議案を含む53議案を可決し、閉会した。【子林光和】
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■ことば
◇後期高齢者医療制度
75歳以上が対象で、財源の約5割を国、都道府県、市区町村の公費で賄い、若い世代の負担を4割、高齢者自身を1割とする。医療費が膨らめば高齢者が負担する保険料も高くなる仕組みで、1人当たりの医療費が高い高齢者に節約意識を持ってもらうのが狙い。高齢者の保険料は一律に負担する「均等割」と前年の所得に応じる「所得割」との合計で、均等割は年収が少ない人は軽減される。
毎日新聞 2008年3月22日