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近代化遺産を歩く

九大工学部本館

2007年09月25日

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 箱崎キャンパスにある建物のなかで、赤れんがの本部庁舎とともに「九大のシンボル」と言われる。1923(大正12)年の火災で一度焼失し、30年に現在のものに建て替えられた。

 正門を抜けて右手に進むとすぐ、茶色のタイル張りの建物が見える。5階建ての塔を丸い3階建て部分が挟む左右対称のデザインが、重厚感を感じさせる=写真、浜田哲二撮影。塔の最上階は展望室のようになっていて高さ36メートルから博多の街を見渡せる。完成当時は市内で最も高い建物の一つだったらしい。

 設計者は、旧法文学部や東区馬出の医学部など、学内の多くの建物を設計した倉田謙氏とされている。「欧州のデザインを自己流に消化した独特のもの。隅々までデザインしようという気持ちがうかがえる」と、山野善郎・元九大助教授(建築史)は話す。

 造りも極めて頑丈で、コンクリートの堅さはダム並みという。約20年前にエアコンを設置しようとしたが壁が硬く、ダクト用の穴を開けられなかったという話もある。

 九大の移転後にどうなるかは未定だが、「残すべきだ」という声は多い。山野さんも「歴史と伝統と文化があることを示す建物。時間はお金では買えない」と訴える。

(福岡市東区箱崎)

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