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近代化遺産を歩く

九州大・本部事務局

2007年11月13日

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◇火災知る れんが再利用

 福岡市東区箱崎にある九州大箱崎キャンパス。れんが造りの正門を抜けて右手に進むと、赤茶色の本部事務局(第一庁舎)が目に入る=写真、浜田哲二撮影。向かい合うようにして立つ工学部本館とともに、九大の「シンボル」として知られる建物だ。

 れんが造りの2階建て(一部3階建て)。建物上部や1、2階の間を分ける部分に引かれた白い帯、規則正しく配置された縦長の窓が建物全体を引き締める印象深いデザインになっている。

 設計者は、工学部本館や旧法文学部、東区馬出の医学部など、学内にある多くの建物を設計した倉田謙氏とされる。

 九大によると、1923(大正12)年に当時の工学部本館が焼失。その礎石やれんがを再利用して、翌年に建設されたという。デザインも焼失前の工学部本館に似せて建てたらしい。正面玄関から入ってすぐ右手の壁に埋め込まれた石版に、火災から再建までの経緯が刻まれている。

 一時期は工学部の仮校舎として使われたが、現在は総長、理事らの部屋や大学事務局が入る。2階には協定の締結などに使う貴賓室があり、歴代学長の肖像画が並ぶ。

 99年には、景観に寄与している街並みや建築物を表彰する福岡市の市都市景観賞を受賞、「当時の欧州の影響や新しい意匠への取り組みが随所に見られ、市のれんが建築物の希少な事例」と評された。

(福岡市東区)

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