ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 福岡・北九州> 記事 遺作は訴え続ける 飲酒運転の撲滅2008年03月21日
昨年12月に飲酒運転の車にはねられ死亡した久留米市の造形作家、寺田太郎さん(享年46)の業績をしのぶ遺作展「太郎の方舟」が、佐賀県吉野ケ里町松隈の「アンプギャラリー」で20日、始まった。開催した遺族らは「作者の生きた証しを見てもらうとともに、飲酒運転が引き起こす悲惨な現実について少しでも考えてほしい」と話す。4月20日まで。無料。 寺田さんは主に鉄を鋳造した造形作品を手がけてきた。昨年12月15日、久留米市内で道路を横断中に、忘年会帰りの会社員が飲酒運転した車にはねられて死亡した。 アンプギャラリーには工房もあり、寺田さんが弟の瀬下黄太さん(43)らと昨年7月に立ち上げた。寺田さんは飲酒運転を人一倍嫌い、ここでイベントを開いた際、酒を飲んで車で帰ろうとした客をたびたび引き留めてテントに泊まらせたという。そのテントが今も建物の外にある。 遺作展には、ギャラリーのオープン時に造った長さ5メートルの「方舟」やキャンドルスタンド、動物や鳥のオブジェなど200点が並ぶ。 初日は、瀬下さんのほか、寺田さんの妻千乃さん(34)、母親の翠さん(71)も会場で来客を迎えた。事故から3カ月。家族の悲しみが癒えることはない。「たくさんの作品が集まったのに、太郎さんだけがいないなんて……」と千乃さん。 道交法違反(酒気帯び運転)と自動車運転過失致死の罪に問われた加害者に対する、懲役2年(求刑3年6カ月)という判決の量刑も遺族にショックを与えた。千乃さんは公判の直後、「覚悟はしていたが裁判官の声が聞こえた瞬間、涙が止まらなかった。夫の命を奪って懲役2年は短すぎると思う」と語り、翠さんは「法が甘いから、飲酒運転と悲劇が繰り返される」と唇をかみしめた。 3人は15日に福岡市・天神であった飲酒ひき逃げの厳罰化を求める署名活動にも参加。遺作展会場にも署名簿を置いた。瀬下さんは「飲酒運転がなくなるよう今後も訴え続けていく」と話す。開催時間は午前11時から午後6時。問い合わせはアンプギャラリー(0952・20・1482)。 マイタウン福岡・北九州
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