【北京・浦松丈二】中国外務省の劉建超報道局長は17日夜、チベット自治区ラサで14日に発生した暴動について緊急会見し、「完全に中国の国内問題だ」と指摘したうえ、国連などによる現地調査の必要性を訴えたチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(インドに亡命中)や人権団体の要求を明確に拒否した。
劉局長は「国内外の『チベット独立』の分裂勢力がぐるになって行った。ダライ(・ラマ)集団が分裂活動を放棄していないと判断した」と述べ、各地で続いた暴動、抗議行動の背後にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマの存在があると強調。「暴動で(治安部隊による)殺傷性のある武器の使用はなかった」と語った。
一方、中国新華社通信は17日、暴動について初めて詳細な記事を配信。「ラサ3大寺院の一つ、デプン寺で10日、僧侶約300人が騒ぎを起こしたのが発端」と主張した。記事は寺の僧侶3人が刃物で自分の体に傷をつけて写真を撮り、被害者を装ったと説明した。
一連の中国側の対応は、「当局による弾圧」との海外の人権団体などの見方を真っ向から否定し、広がる対中非難に対して反撃に出る形になった。ラサは当局が違法行為参加者に出頭するよう呼びかけた期限の18日午前0時(日本時間同1時)を過ぎたが、平穏な状態にある模様だ。
インド北部ダラムサラのチベット亡命議会は17日の声明で、ラサなどで発生した暴動で「数百人が死亡した」と明らかにしたが、真相はわかっていない。
毎日新聞 2008年3月17日 22時22分 (最終更新時間 3月18日 3時29分)