【北京22日傍示文昭】中国チベット自治区ラサに端を発した一連の暴動で、中国国営の新華社通信は22日までに、人権団体と西側メディアが「人の不幸を喜び、騒乱を楽しんでいる」と批判する論評記事を配信し、中国政府の公式発表や国営メディアの報道を信用しない人権団体と西側メディアへのいらだちを浮き彫りにした。

 論評記事は「こうした暴動が彼らの国で起きたなら、中国ほど抑制された対応をしただろうか」と指摘。さらに「人の身になって考えなければ、他人を批判するのは易しい」と皮肉った上で、人権団体は「なぜ(暴徒に殺された)無実のラサ市民の人権を擁護しないのか。人間は平等ではないと考えているのか」と痛烈に批判した。

 一方、22日付の中国共産党機関紙・人民日報は「法制を堅持し、人民を保護し、安定を維持する」と題する論文を掲載。暴動は「祖国分裂を企てる陰謀」と断定し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に対して「一貫して掲げる『非暴力、平和対話』は徹頭徹尾の偽りであり、『独立を求めない』という吹聴は正真正銘の欺まんだ」と非難した。

 台湾総統選の投開票日に合わせて発表された論文は、いかなる形の独立も認めないという共産党の強いメッセージを示す狙いがあるとみられる。

=2008/03/23付 西日本新聞朝刊=