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台湾総統選:日本政府は馬氏当選を歓迎 実利主義に期待

 日本政府は22日の台湾総統選で、「米中日等距離外交」を掲げる野党・国民党の馬英九前主席が当選したことを「韓国の李明博(イミョンバク)大統領のような実利主義の指導者で、東アジアの安定にもつながる」(外務省幹部)と歓迎している。対日政策に大きな変化はないと見ているが、断絶していた中台交流の再開がチベット暴動でどうなるのか、再開後の中台がどこまで接近するのかを、米国と共に注視していく構えだ。

 陳水扁総統が唱えた台湾の国連・WHO(世界保健機関)加盟などの外交政策に対し、日本政府は「中台関係の緊張につながる」と難色を示してきた。

 05年には日米で、対話を通じた平和的解決を促すとの共同戦略目標を確認。福田康夫首相は昨年12月の日中首脳会談で、「台湾」名義で国連加盟の是非を問う住民投票について「一方的な台湾海峡の現状変更につながるなら支持できない」と発言し、中国側への配慮を鮮明にした。

 外務省幹部はチベット暴動の影響を気に掛けながらも「馬政権誕生で台湾海峡の緊張は緩和に向かう」との楽観的な見方を変えていない。むしろ、5月の胡錦濤国家主席の訪日に絡み「中国側が日本に一層踏み込んだ対応を求めてくるかもしれない」と身構える。

 一方、小泉、安倍両政権で、台湾観光客の査証(ビザ)免除や運転免許証の相互承認などが進み、「現在の日台関係は72年の断交以来、最も緊密な状態」とされる。

 日台貿易は646億ドル(07年)に上り、経済関係も順調だ。馬氏は選挙で日台間の自由貿易協定(FTA)締結も公約。提唱している「両岸共同市場化」構想が実現すれば、「日系企業も恩恵を受ける」と、実利中心の交流に期待が膨らむ。

 ただ、歴史認識問題では、馬氏は中国と同じく小泉純一郎元首相の靖国参拝を指弾する立場だ。昨年11月に訪日し「反日イメージ」を薄めようと努めたが、日本留学の経験もある民進党・謝長廷氏に比べると「知日派」とは言えないようだ。【中澤雄大】

毎日新聞 2008年3月22日 21時17分 (最終更新時間 3月22日 21時21分)

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