75歳以上を対象にした、新しい医療保険制度・後期高齢者医療制度が4月1日から始まる。対象者が医療機関をする場合、新しく交付される保険証が必要になる。ただ、それを忘れていくと最悪受診できない恐れもあり、室蘭市内の総合病院は、受付業務の混乱を懸念している。21日、市内の3病院が会見し「75歳以上の方が4月1日以降、病院にかかる場合は、必ず新しい保険証を持ってきてください」と強く呼び掛けた。
この日会見を行ったのは、市立室蘭総合、日鋼記念、新日鉄室蘭総合―の3病院。
新制度では新しく交付される「後期高齢者被保険者証」が無いと原則、受診できなくなるため。3病院以外でも保健医療機関であれば、同じ対応になる。しかし、新しい保険証を忘れていってしまうと、例えば受診できても時間が掛かったり、薬の受け取りができなくなる―などの恐れがある。最悪の場合、当日に受診出来ないことも考えられるという。
75歳以上の人が医療機関に掛かる場合、これまでは健康保険証と老人受給者証の2枚が必要だった。4月1日以降は現在、対象者に順次郵送されている新しい保険証1枚に統合される。新しい保険証は、従来の老人受給者証と大きさが同じため「間違って持ってくるケースが予想される。本人はもちろん家族の方も十分注意してほしい」と混乱を危ぐする。
しかも、新しい保険証のデータ更新作業には一定の時間が掛かる上、「診察券はある」「予約しているのに、なぜ受診できないの」など、対象者からの問い合わせも予想。そうすると、当然、病院の受け付けは混雑し、「ほかの外来診療にも影響が出る可能性がある」と懸念している。
各病院では、受付担当の職員をほかの業務から振り替えて対応する予定だが、新制度の対象者は薬を長期処方されている人も多く「4月いっぱいは一定の混雑は避けられない」とみている。
各病院では院内にポスターを掲示したり、ホームページで周知を始めた。市立では3月から対象となる受診者に対象者にはチラシを配り、新保険証を持ってくるよう促しているが、問い合わせは少ないという。
外来患者数は1日平均、市立が約1,200人、新日鉄と日鋼記念が各約800人。このうち新制度の対象者は、市立が約300人、新日鉄と日鋼記念は各約150人程度と想定している。
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