救急出動ピーク時のトリアージなど求め、報告書

 消防庁は3月21日、救急業務高度化推進検討会(座長=山本保博・日本医科大学主任教授)に対し、救急隊出動数が多い時のトリアージ(緊急度・重症度による患者の選別)実施や救急救命士の病院実習時間の短縮、救急医療情報システムの整備などを求める報告書案を提示し、委員らは大筋で了承した。消防庁は年度内に報告書を取りまとめ、都道府県などに配布する。

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 報告書案は、検討会内の▽消防機関と医療機関の連携▽メディカルコントロール(MC)▽トリアージ―の各作業部会が提出した報告書を取りまとめた格好だ。同日は各作業部会の座長らが検討会に報告した。

 119番受信時のトリアージについて、救急隊の出動数が多いピーク時に限って実施するよう提案。何隊出動していればピークと判断するかや、地域特性に応じた運用方法などについては、議論を来年度に持ち越すことにした。トリアージの段階で緊急度の高い患者を見落とすリスクを軽減するため、現在のトリアージの運用基準に▽急性冠症候群(ACS)▽クモ膜下出血(SAH)▽脳卒中▽吐下血▽後期高齢者▽小児―のキーワードを入れた改訂案も示した。救急隊員が現場で計測するバイタルサインで患者の緊急度を判断できる基準も提示した。

 MCの報告書は、救急救命士の再教育を病院からMC協議会にシフトすることを提案。従来の128時間の病院実習を48時間まで短縮し、残りの80時間をMC協議会による実技講習などで担うことを求めた。このため病院実習の内容を細分化する。実習時には患者にインフォームドコンセントをしなければならないが、院内掲示でよい場合と文書が必要な場合を示した。

 消防機関と医療機関の連携に関する報告書は、ベッドの空き状況や医師態勢などを消防機関に知らせる救急医療情報システムが活用されていないとする実態調査結果をもとに、リアルタイムで情報を更新できるようにするための仕組みづくりとして、更新状況のチェックや事後検証などをするようシステム管理者に求めた。厚生労働省が来年度に立ち上げる「救急患者受け入れコーディネーター」の活用や、2008年度の診療報酬改定で新しく評価されるメディカルクラークをシステム入力に活用することも提案した。

■MC協議会の役割の見直しが課題に
 検討会の報告書案は、今後の課題にMC協議会の役割や法的位置付けの見直しを挙げた。消防機関と医療機関の連携の作業部会は、MC協議会を救急搬送の検証の場として提案したが、これまでにMC作業部会では「課長通知が設置根拠であるMC協議会が担うには荷が重い。協議会の権限や構成員を強化してほしい」とする意見が出ていた。このため、来年度にMC協議会の位置付けを見直す。


更新:2008/03/21 21:44     キャリアブレイン

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08/01/25配信

高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子

医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。