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乾 貴士(横浜 F・マリノス)「このスタイルで攻めていく!」

記者 憧れとしている選手、目標の選手はいらっしゃいますか?
世界で一番憧れている選手は、楠神(順平・野洲高OB、現・同志社大1年)さんです。僕、中学の時に楠神さんが野洲に進んだから、付いて行こうと決めたんです。「あんなすごい選手になりたい」と思っていました。
記者 どういったところが?
一番びっくりしたのがドリブル。「ああ、こんなドリブルできる人、おるんや」って、衝撃でした。今ちょうど、大学サッカーはオフだし、食事に連れて行ってもらったりしています。まだまだ楠神さんのドリブルには、僕なんてかなわないですよ。いや、本当に。
記者 最後の選手権。早期敗退は残念でした。
残念な結果に終わってしまいました。去年は楠神さんや、平原(研、現・近畿大1年)さん、青木(孝太・現・千葉)さんという、頼りになる先輩がいて、優勝することができた。今年は、自分が引っ張っていかなきゃいけない、と思っていましたから…。
記者 注目度も高かった。
連覇や注目度、っていうプレッシャーは全然なかったですけど、責任をずっと感じていました。
乾 貴士
記者 責任とは?
 僕、去年の11月に(U−21)代表に呼んでもらって、その時のことがずっと引っ掛かっていたんです。代表の練習の雰囲気とか意識の高さが、ものすごくて。

  代表での活動を終えて野洲の練習に復帰したときに、――全然そんなことないのに、やる気が見えないように感じて、みんなに当たってしまったんです。大事な大会の前に、雰囲気を乱してしまった気がして、責任を感じていました。そこでみんなにすごく迷惑をかけたから、自分が少しでも貢献して一つでも上に行きたい、と思っていました。最後は、(3回戦敗退という)残念な結果に終わってしまいましたが、野洲でサッカーができて、本当に良かったと思っています。
記者 乾選手の人柄がすごく出ているような気がします。でも、野洲でサッカーがやれて楽しかった。
はい。野洲では、本当に自分の長所を伸ばしてもらったと思います。僕、山本(佳司)先生に「ああしろ」「こうしろ」と、何かを指示された覚えが一度もないんです。一人ひとりのいいところを伸ばして、それを集めていいチームにしていこう、という考えやったと思うし、野洲高に入ってサッカーがますます好きになった。
記者 初めてプロから誘いがきたのは。
去年(06年)の4月か5月くらいです。それまで、プロでやりたいな、とは思っていましたけど、実際に話をいただいたときには、本当に驚きました。結局、3チームから誘ってもらったんですが、最終的には横浜(FM)に決めました。
記者 横浜に決めた理由は。
小学校の時から、指導を受けている岩谷(篤人)コーチに相談したときに「狩野(健太)や奥(大介・07年からは横浜FCでプレー)など、お前とタイプが似ている選手がいるところで、勉強していく方が、きっと将来のためになる」とアドバイスをもらって。練習に参加したときには、二人に「当分かなわないな」と思ったんですけど、今はチャレンジしよう、と思っています。
記者 昨年はU-21代表にも選出されました。
びっくりすることばかりでした。印象に残っているのが、本田(圭佑・名古屋)さんと家長(昭博・G大阪)さん。本田さんは、ボールタッチと、キックがすごい。ワンステップで、すごいボールを蹴ります。
記者 家長選手は。
家長さんは、足元のうまさとスピード、体の強さもある。仕掛ける時にボールを前に出すタイミングが、すごく独特です。僕のドリブルとは違いますね。僕は、相手と向き合った時に、相手がどっちに行くとイヤかを見る。イヤそうなところに、行く、という感じで。
記者 何となく分かる、いやそうなところが。
はい。なんとなく、ですけど(笑)。
記者 緊張はしませんでしたか。
途中出場した韓国戦2試合は、緊張しませんでした。反町(康治監督)からも特に言われなかった。「ボールを持ったら、自由にやってこい」と言われただけです。よし、やってやろう、という気持ちになりました。今年は、U-20ワールドカップもあるし、五輪予選もありますし、自分の頑張り次第で、道はどんどん開けていく、と思っています。
記者 今の目標は。
 ひとまず、(横浜F・)マリノスで、アピールしたいです。厳しいのは分かっていますが、キャンプから自分のいいところをどんどん出していきたいと思っています。

  そして野洲のサッカー、というのはこういうサッカーなんだ、というのをピッチで出したい。野洲のサッカーは世界に通用するんだ、というのを僕がまず見せられたらと思っています。
記者 将来の夢は。
スペイン・リーグでプレーすることです。WOWOWでいつも見ているんですけど、本当に面白い。いつかバルセロナでプレーできたら、いいなと思いますね。
記者 サッカーに関して負けず嫌いなのが伝わってきます。それは素晴らしいことですよね(笑)。
はい。勉強とかはもう…「先行ってください」って感じやったんですけど(笑)。

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乾 貴士

プロフィール

いぬい・たかし/1988年6月2日生まれ。滋賀県出身。セゾンFCから野洲高に進学したMF。スピードに乗ったドリブルと、意表を突くスルーパスが魅力のアタッカー。05年度の全国高校選手権での野洲高優勝に貢献した。06年11月には飛び級でU-21代表に選出。野洲高卒業後は、横浜FM入団が決まっている。169cm、59kg。


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