最高検は21日、裁判員制度の対象となるすべての重大事件で検察官による取り調べの録音・録画を4月以降全地検で原則実施する方針を正式発表した。重大な少年事件も、家裁送致前に録画する。
来春始まる裁判員制度に向け検察当局は、容疑者が自分の意思で自白したことを効果的に立証する手段として、取り調べの録画を主要地検で試行。06年8月~07年12月に170件実施した。
裁判員制度対象事件は年3000件前後に上るが(1)暴力団抗争などの組織犯罪で、関係者に危害が及んだり、協力が得られなくなる(2)外国人事件で報復を恐れる通訳の協力が得られない(3)容疑者が拒否したり、全面否認している--ケースでは例外的に実施しない。
冤罪(えんざい)防止のために日本弁護士連合会などが求める全過程の録画(可視化)について、最高検は「真実の供述を得ることが困難になる」と反対の立場を維持。今後も、録画する場面は、自白の動機や調書の内容を容疑者に確認するやりとりなどに限る。また、特捜部が手掛ける事件の取り調べは、裁判員制度の対象外だとして、録画はしないという。【伊藤一郎、田村彰子】
毎日新聞 2008年3月22日 東京朝刊