ニュース: 生活 RSS feed
【産経抄】3月22日
このニュースのトピックス:景気
鴨下信一氏の『面白すぎる日記たち』(文春新書)に、ニンマリさせられる日記が紹介されている。有名人から無名の人まで「性生活」を書いているものだ。符号に秘めたり、赤裸々に描いたりとさまざまだが、その奔放さに思わずほおがゆるんでしまう。
▼だが同じ性生活に関するものでも、こちらはニンマリなどしてはおられない。日本の夫婦の約25%が「セックスレス」だという先日のニュースである。日本大学人口研究所と世界保健機関が、20歳から59歳までの男女9000人を対象に調査した結果だった。
▼「セックスレス」は年齢が高くなるほど増えるが、20代でも7・2%を数えたという。夫婦間に限った調査は日本では初めてで、過去との比較はできない。だが「面白すぎる日記たち」の時代に比べ、夫婦の間が冷ややかなものになってきているのは間違いないだろう。
▼その一方セクハラや不倫、性犯罪に関するニュースが連日のように報道されている。「性」がどんどん陰湿になっていく気がしてならない。パソコンやゲーム機の浸透で、夫婦や恋人たちがまともに向き合えなくなってきている。そんな指摘もあるようだ。
▼むろん「夫婦の性生活」はプライバシーの最たるものである。日記に書かれるのはともかく、あれこれ論じるなど「余計なお世話」だろう。ただ気になるのは日本人の「セックスレス」が増えているとすれば、少子化に拍車をかけているのでないかということだ。
▼政府の少子化対策は経済的な子育て支援を柱にしている。「景気がよくなれば結婚が増え、子供も増える」という楽観的見方もある。だがこの調査は、男女の間の人間関係の希薄化という思わぬ「盲点」を指摘してくれたように思えてならない。