都市部の救命救急センターなど3次救急医療機関が救急搬送受け入れられなかった理由の約4割が「ベッド満床」だったことが、3月21日、消防庁の調査で分かった。2次救急で受け入れられなかった患者を3次救急に搬送しているために、3次救急のベッドが埋まり、ほかの患者の手術などをしているために新しい救急患者を受け入れられないなど、2次救急の疲弊が3次救急を圧迫している状態が浮き彫りになった。消防庁は同日開いた救急業務高度化推進検討会に報告した。
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消防庁は3月11日に発表した、国内807消防本部の昨年の救急医療機関の受け入れ照会回数などをまとめた調査を詳細分析した。宮城県、埼玉県、東京都など都市部の7都県で、受け入れられなかった件数と理由を、2次救急と3次救急に分けて数値を示した。
調査によると、3次救急で受け入れられなかったのは1万2,322件。このうち最も多かった理由は「ベッド満床」が37.8%で、「手術中・ほかの患者対応中」も34.5%と、わずかな差だった。次に、「(症状に対処できる設備やスタッフの不足による)処置困難」が12.7%だった。
2次救急以下の医療機関で受け入れられなかったのは1万8,215件。このうち最も多かったのが「処置困難」で39.0%だった。続いて、「手術中・ほかの患者対応中」が16.2%、「ベッド満床」が15.6%だった。
消防庁は「2次以下の救急医療機関で受け入れられなかった患者が3次救急の受け入れ要請につながり、3次救急がベッド満床や患者対応などを理由に受け入れられない実態がある」と分析。2次救急で最も多かった受け入れ困難理由の「処置困難」について、地域で現状分析していくことで解決の方向が示されていくとの見方を示した。消防庁が受け入れに関する実態調査をしたのは初めてだったが、今後も継続していく考えだ。
委員からは、「症状に対応できる医師がいないなどで2次救急の役割を果たしていない病院が多い。救急隊の選定先の間違いなどは少ないのでは」、「3次救急が(対応できる医師や設備がないため受け入れられない)『処置困難』を理由にしているのはおかしい。救命センターの機能について見直すべき」と、厚生労働省で進めている救命救急センターの在り方を見直す検討会で議論するなど、救急医療機関の在り方を見直してほしいとの意見が出た。救急隊は患者や家族の希望、病院の状況などを聞いて受け入れ先を探しているため、1回で搬送すればよいとする考えはどうかとの意見も出た。
更新:2008/03/21 18:16 キャリアブレイン
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