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2008年3月21日 (金)

チベット問題と社会起業家としてのメディア

昨日の坂井の記事を読んでいて、チベット問題と社会起業家の関係について思うところがありました。メディアと社会起業家の関係でもあります。

本来、メディアとは社会起業家であったはずです。

社会のさまざまな問題を報道し、オピニオンを形成し、正していく。
社会正義を実現させ、しかも、それを商売として成立させる。

これは、まさに社会起業家そのものであると言えます。

しかし、一方で、メディアは権力の道具でもありますから、どこの国でもメディアには強い規制をかけようとします。

その規制には、言論に対する規制もありますが、一般の生活者はほとんど意識していない、もっと大きな規制があります。

資本の規制です。

どこの国でもマス・メディア、特にテレビには厳しい外資規制をかけていて、外国人がテレビ局のオーナーになることはできません。

マードックなど、アメリカのテレビ局が欲しくて、国籍をアメリカ籍に変えて、それでようやく買収することができました。

この外資規制は、国益をその根拠にしていて、それはそれで一理あるのですが、NGOの時代になって弊害も大きくなっていると思います。

外資規制のせいで、NGO的なテレビ局を作ることが不可能だからです。

世界のNGOの中には、テレビというメディアを活用して、環境などさまざまな問題に取組んでいるメディア系NGOも多数ありますが、たいていは各国の大手メディアの支援を受けて番組を作ったりしているだけで、実質、優れた制作会社ではあっても、大きなメディアとはなっていません。

NGOが大きなメディアを作ろうと思っても、外資規制があるからテレビ局を支配出来ない。
そうすると、投資する人も出てこないですから、メディアとしても大きくならない、というわけです。

しかし、時代は変わります。

これまでは、どこの国でも政府から電波を割り当ててもらわないと、テレビ局を開設できませんでしたが、今は衛星放送やケーブルテレビがあります。

ケーブルテレビや衛星放送は、地上波に較べれば弱いメディアでしたが、ここ数年でようやく、強いメディアになってきました。
ここに、NGOが強いメディアを持てるチャンスが生れてきました。

具体的には、専門チャンネルです。
CNNやディスカバリーなどのよう専門チャンネル。

というと、多くの人は、地上波に較べてぜんぜんマイナーだと思うでしょう。

しかし、たとえば、ディスカバリー・チャンネルの視聴世帯は全世界で4億5千万とも言われています。世界的に見れば、日本の地上波キー局より、ぜんぜんメジャーであります。

そして、専門チャンネルは、地上波に較べて資本規制も緩いので、世界中で展開できます。

つまり、NGO的なメディアを作ることが出来ます。
NGO的なメディアとは、国際政治の思惑と対峙できるメディアということです。

このようなメディアであれば、世界中から人材を集めることが出来ますし、最初からグローバルな発想で番組を作りますから、記者もプロデューサーもディレクターも、意識が変わります。

チベットやウイグルの問題に対して、社会起業家が出来ることには、このようなメディアを作ることもあると思うわけです。(竹井)


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