奈良県平群町内の一戸建て賃貸町営住宅で、住民が町に無断で建て替えを行った上、住民名義で建物を不動産登記した状態が15年間続いていることが20日、分かった。町はこの間、工事差し止めの仮処分決定も受けたが強制手段には出ておらず、事実上放置。国土交通省は「明らかに違法で問題のあるケース」とし、町も「対策を検討したい」としているが、町のずさんな管理が問題となりそうだ。
町によると、問題の住宅は約140平方メートルの町有地に建つ木造2階建てで、夫婦2人が暮らしている。
住民は昭和40年に入居したが、54年に無断で建物を取り壊して改築工事を行った。町は建築禁止の仮処分を奈良地裁に申し立て、決定を受けたが、住民側は工事を強行。町側も強制措置は取らず、そのまま現在の家屋が建った。
さらに平成5年ごろ、住民が家屋を売却しようとしたため、町は地裁に売却禁止の調停を申し立て、同年10月に禁止の仮処分登記が行われた。その際、本来なら町名義でなされているはずの建物の不動産登記がなかったことが判明。町も合意のもとで住民名義の登記が行われたが、町の関係者は「なぜ住民の名義にしたのか、詳しいいきさつは分からない」としている。8年には、町条例に基づいて住民が月1000円の家賃を支払い、町が住民に引き続き家屋の使用を認めることで和解が成立。町営住宅は公営住宅法に準じた町条例により管理されており、国交省住宅総合整備課は「公営住宅でこのような形で住民名義の登記がなされるというのは聞いたことがない」としている。
(2008/03/21 8:16)
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