EQUITY WATCH

沈む株価、底入れはいつ来る

世界の市場に2つのシグナル

 米連邦準備理事会(FRB)が3月18日に政策金利のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%に引き下げ、欧州中央銀行(ECB)が資金供給しても株安や信用不安は止まらない。そのため市場では、かつての日本と同様に、海外でも体力の落ちた金融機関への救済合併のほか、政府が金融機関への公的資金を投入を迫られるとの見方が増えている。日本のバブル崩壊と同じ経過をたどるとすれば、市場の金融不安を払拭するために、早期に財務状況が痛んだ金融機関への公的資金の投入を迫られる時期が来る。それが底打ちのタイミングではないかというものだ。

日経平均株価

 もう1つのカギは、現在、最も資金流入が増加していると見られる原油や金などの資源価格や商品(コモディティー)指数の動向だ。日本経済新聞社が算出する日経国際商品指数(80年平均=100)は、3月3日に203.327ポイントと最高値を更新した。ある市場関係者は「日本でもバブル崩壊の最後まで資金が集まったのは不動産。いつか来た道で、最終的に一番好調だった市場も縮小したのだから、資源価格が頭打ちとなる可能性はある」という。いわば資金流入が続く商品市況の好調が途絶える時が、資金が再び株式市場に向かい、株価の底打ちのタイミングになるのではないかという見方だ。

日経国際商品指数(1980年平均=100)

 もちろん原油など資源価格の高騰の背景には、中国などアジアの旺盛な実需もある。さらには原油などの指標となる商品市況はドルベースで評価されることが多いため、ドルの下落を加味すれば実体以上に高くなっている可能性もある。見かけほど資金が流入しているわけではないというわけだ。

 とはいえ商品指数は、中長期的に先進国の消費者物価指数にほぼ連動し、株や債券などとは違った値動きをしやすいという。株価が下落しやすい景気後退局面の初期に商品指数は上昇する傾向が強く、反対に株価が上昇しやすい景気回復の初期には商品指数は下落しやすいとされる。世界を駆け巡るマネーがどこに向かうのか。1バレル=100ドルを超える原油取引などの動向にも目を配る必要がある。

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このコラムについて

「この会社の株価が示すものは?」「日経平均はこの先どう動く?」
個人株主や機関投資家が抱く疑問をはじめ、企業のファイナンス(増資等)やM&A(合併・買収)の最前線の動きを追い、株価に込められた企業の実力や売買筋の思惑を描く。(注:特定銘柄の売買を推奨するものではありません)。

 

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