ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 茨城 > 記事です。

茨城

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

いばじん:ここが聞きたい/222 ソウルバー店主・小鹿拓良さん /茨城

 水戸のソウルバー「SOUL in MOTION」が10周年を迎える。訪れる客には時にプロのミュージシャンや評論家らも交じって、ソウルミュージックに流れる「愛」を語っていく。店主の小鹿拓良さんは「音楽に好奇心のある人にこの店の扉を開けてもらいたい」と誘(いざな)う。【立上修】

 ◇曲の「解釈」伝えたい

 --ソウルミュージックとの出合いは。

 ◆姉が当時のヒット曲をかけ、(アメリカの音楽番組の)「ソウルトレイン」をテレビで見ていました。75年くらいかな。だから小学2年でソウルミュージックという言葉を知っているわけです。黒人の音楽ってことを。高校生くらいから本格的にソウルのレコードを買うようになりました。

 --店を開くまではどんなことを?

 ◆自営業をやりたかったんです。焼き物屋ならやりやすいかなと思って。21歳から24歳まで愛知県瀬戸市の窯元にいました。名古屋に行ってソウル専門のレコード屋でバイトしたり、ソウルバーでDJをやっていたり。彫刻家の父には「ろくろを回さずにレコードを回してる」と怒られたりもしましたが。茨城に戻ってからは笠間にもいました。

 --踏み切ったのはなぜですか。

 ◆29歳の誕生日にそれまでの仕事をやめました。もっと好きな仕事をしようと。レコード屋で割り切ってレコードを売る器量もないし、黒人になってソウルシンガーにはなれない……消去法でソウルバー。冗談でなく本気で。店を開いたのは30歳6カ月。とにかくソウルバーをやってみたかったんです。

 --「ソウル」のジャンルも広がってきてますが、選曲での思い入れは。

 ◆店にはLPが3000枚、シングル盤1000枚。家にもLPは2000枚くらいあります。当時の音でアナログ盤で聴けるものは、CDで持っていても「ない」と言います。究極に詳しいのはコーラスグループとかサザンソウルだと思うけれど、マニアックな部分よりも思い入れを優先しているところがあるかもしれません。リクエストにたどり着くまでの道程があって、次の曲に行くまでに「これもいいね」ってやりとりがあって。自分の好きなソウルと、お客さんが聴きたいソウルは違うと思うけれど、黒人の大衆音楽という枠組みだけは守りたいと思っています。

 --何らかの使命を感じていますか。

 ◆自分の知らないソウルが星の数だけあります。その音に対して好奇心があります。プロデューサーとかスタジオ、アレンジャー、年代とかで見当つけて聴いていくだけで、音楽雑誌を読む時はソウル以外のジャンルの部分を読みます。共通点がどこかないかなって。「こういう解釈があるんですよ」って、お客さんにソウルを知ってもらうために。若い子にソウルミュージックの「美しい泥沼」を伝えていきたい。ソウルの神様への恩返しかなと思ってます。

==============

 ■人物略歴

 ◇こしか・たくら

 水戸市生まれ。98年9月、水戸市宮町3に「SOUL in MOTION」(電話029・227・8586)を開いた。高校生年代のボーイスカウト隊隊長も務めている。40歳。

毎日新聞 2008年3月20日

茨城 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報