二年ぶりに携帯電話を買い換えた。今まで持っていたのでさえ十分に使い切ってなかったのだが、最新機種はさらに機能が充実。どうにもこちらが追いつかない。
そんな中で、ほとんどの機種についているのが音楽プレーヤー。好きな曲を携帯にダウンロードして聴いている若者の姿も珍しくなくなった。一曲をまるごと取り込む携帯向け有料音楽配信サービス「着うたフル」は、かなりの人気だという。
二十二日に開幕する選抜高校野球大会開会式の入場行進曲はコブクロの「蕾(つぼみ)」。昨年の日本レコード大賞受賞曲だが、今月初めに発表された日本ゴールドディスク大賞でも、二〇〇七年「着うたフル」ソングの上位五曲に入っている。
一方で、昨年最も印象に残った曲はと言われれば、秋川雅史さんの「千の風になって」だろう。こちらは百万枚を超える大ヒットで、音楽情報会社オリコンの年間シングルCD売り上げ首位だ。
ネットの普及で、こうしたヒットチャートも分かりにくくなりつつある。日本レコード協会によると、ネットによる有料音楽配信市場は二〇〇六年にCDシングル生産額を抜き、〇七年は約七百五十四億円に成長。このうち「着うたフル」だけで約三百四十三億円に上る。
音楽を屋外に持ち出し手軽に楽しめるようになったのはいいが、携帯に取り込んだ曲は使い捨てのイメージがぬぐいきれない。好きな曲はやっぱりいい音質でゆっくりと聴きたいものだ。音楽の世界でも消費のスピードが一気に加速しているようで気に掛かる。
(文化家庭部・金居幹雄)