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中国全人代閉幕 多難な2期目の胡指導部

 中国の国会に当たる第十一期全国人民代表大会(全人代)第一回会議は、国民生活の向上を目指す「民生重視」方針を強調した温家宝首相の政府活動報告などを承認して二週間の日程を終え閉幕した。胡錦濤国家主席と温首相は再任され、後半五年となる二期目の「胡―温」体制がスタートした。

 今年は改革・開放政策三十周年で、中国が威信をかける北京五輪が開かれる記念の年に当たっている。全人代は中国の経済発展を国際社会に誇示する舞台となるはずだったが、中国製ギョーザ中毒事件に始まって、チベットでの大規模暴動への対応などで前途多難を印象づける結果となった。

 胡主席は「過去五年間でわが国の改革・開放と近代化建設は大きな成果を挙げ、総合国力と国民生活のレベルは一段と上昇した」と総括し、「和諧社会(調和の取れた社会)」づくりに努力する方針を強調した。

 しかし中国の急激な経済成長は、さまざまな分野でひずみを生んできた。胡指導部が「民生重視」に力を入れるとしたのも、国民の不満を解消する必要に迫られてのことである。

 温首相は「最大の困難は物価の速すぎる上昇とインフレ圧力だ」と述べ、物価対策に苦心していることを認めた。貧富の差が開き、低所得者層への配慮が急務となっているためだ。行き過ぎた景気過熱を押さえ成長を持続させる難しいかじ取りを実行しなければならない。

 対策の遅れていた環境問題を前進させるために環境保護省設置にも取り組んだ。局からの格上げで、深刻化する水や大気の汚染への取り組みを強める。不動産価格の大幅上昇に対処し住宅都市農村建設省を新設し住宅整備にも力を入れる。

 官僚の汚職は深刻である。全人代で政府活動報告の承認に対する賛成は有効投票の98・5%だったが、最高人民法院(最高裁)の活動報告は78・1%、最高人民検察院(最高検)の活動報告は77・6%にとどまった。公務員への汚職摘発が不十分であるとして国民の不満が強いことを示している。共産党の一党独裁によるゆがみがもたらしたものであろう。

 チベット暴動は、背景に政府の民族融和政策への不満があるとされる。当局が強圧的な対策に走れば、五輪ボイコットの動きを招いてしまいかねない。

 中国政府が厳重に規制しているため、国内ではメディアによる暴動の詳細は報道されていないが、閉鎖的対応では国際社会の信頼は得られない。


2児童殺害判決 極刑の回避ににじむ苦悩

 秋田県の連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄の罪に問われた畠山鈴香被告の判決公判で、秋田地裁は凶悪かつ卑劣な犯行だが計画性はなかったなどとして死刑の求刑に対し無期懲役を言い渡した。

 事件は二〇〇六年に相次いで起きた。判決によると畠山被告は同年四月、日ごろから疎ましく思っていた長女が「魚を見たい」と駄々をこねたことにいら立ち橋の欄干に乗せて突き落とし水死させた。さらに五月には長女と仲良しだった近所の男児の元気な姿に嫉妬(しっと)して絞殺し、遺体を遺棄した。

 判決は裁判の争点だった長女への殺意と、男児殺害時の被告の責任能力をともに認め、「極めて重大悪質で死刑も十分考えられる」とした。一方で、犯行が衝動的だったことや更生の可能性などに触れ、「極刑がやむを得ないと断じるにはちゅうちょを覚える」とした。検察側の主張をほぼ認め遺族の心情にも理解を示しつつ個別の事情を慎重に吟味して極刑を回避した。裁判官の悩みがうかがえる。

 〇九年五月までにスタートする裁判員制度では、国民から選ばれた裁判員が今回のような重大な刑事裁判に参加しなければならない。被害者側の感情、被告の生い立ちや心情、供述の信用性などが複雑に絡むケースも多い。しかも人の生命を握るとなれば、負担感は強まろう。

 山陽新聞社加盟の日本世論調査会の調査では、裁判員を務めることへの消極派は72%に上った。理由では「重要な判断をする自信がない」が58%に及ぶ。裁判に社会常識を取り入れる司法制度改革を実らせるため、裁判員制度の意義についてさらなる啓発活動が必要だろう。審理の迅速化など物理的な負担軽減だけでなく心理的な負担への対策が重要だ。

(2008年3月21日掲載)
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