【台北20日小山田昌生】台湾総統選は22日、投開票される。与党・民主進歩党(民進党)候補の謝長廷・党主席代行(61)と最大野党・中国国民党候補の馬英九・前党主席(57)が、激しい一騎打ちを展開。選挙戦はこれまで馬氏が優位に進めてきたが、謝氏は終盤戦で、馬陣営が掲げる「中台共同市場」構想などの中国寄り政策を、「台湾の主体性が失われる」と批判。チベット暴動発生後、有権者の「反中国感情」の高まりを受けて、謝氏は急速に追い上げており、接戦にもつれ込みそうだ。

 チベット問題をめぐっては、当初「台湾とは事情が違う」と距離を置く発言をしていた馬氏が、18日には世論に押される格好で、中国政府を強く批判し「北京五輪への選手団派遣中止も辞さない」とする声明を発表。しかし、スポーツ界などから五輪の政治問題化を憂慮する声が上がり、馬氏は「中国が武力鎮圧を継続していることが(ボイコットの)前提」と弁明に追われている。

 謝陣営幹部によると、中間層の一部が馬氏の危機対応能力に疑問を感じて、謝氏支持に流れ始めており、「両氏の支持率は交差するところまできている」という。

 総統選では同時に、民進党提案の「台湾名義での国連加盟」と、国民党提案の「中華民国、台湾など尊厳を守れる名称での国連復帰」の、それぞれに対する賛否を問う住民投票も行われる。このうち「台湾名義での国連加盟」の賛否を問う住民投票については、米中両国が「台湾海峡に緊張をもたらす」(ライス米国務長官)と強く反発しており、成否が注目される。

=2008/03/21付 西日本新聞朝刊=