ソウル――北朝鮮の慢性的な食糧不足問題で、韓国の対北援助団体「グッドフレンズ」は20日、首都・平壌の「一部エリート層」への配給が中止されるまで状況が悪化したと報告した。AP通信が報じた。
これによると、同市居住の中位、下位公務員へのコメ配給は3月に入り停止、2月には通常の60%まで削減されていたという。平壌には、金正日総書記の体制に忠実とされる公務員、住民だけが居住をみとめられるとされ、それだけに同市の食糧事情は、地方部に比べ、恵まれた状況にあるとされてきた。
同団体によると、南部の一部地方は昨年11月から食糧配給がない状態だという。これを受け、集団農場の従業員は仕事も出来ず、今春の農作物の植え付け時期の準備が遅れている。
グッドフレンズによるこれらの情報の入手先は不明。北朝鮮への食糧援助に当たる世界食糧計画(WFP)は先に、昨年夏の大規模洪水で北朝鮮はここ数年で最悪規模の食糧不足に遭遇していると警告していた。洪水禍で、北朝鮮の農地の11%以上が破壊したとしている。
北朝鮮は農政の失敗などから1990年半ば以降、食糧を外国からの援助に大きく頼ってきた。最大で数百人規模の住民が餓死したとの情報も流れている。