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新美祢市誕生:1市2町合併/下 公立病院再編論議も /山口

 ◇高齢化率突出、2院は赤字 近く検討会設置へ

 新・美祢市の高齢化率は31・5%(昨年10月の各市町のデータに基づく)。全国平均20・8%、県平均25・5%を大きく上回る。ほぼ3人に1人がお年寄りだ。住民の誰もが安心できる医療サービスを望むが、合併後に予想されるのが公立病院の再編統合である。

 赤字続きの病院事業については合併協議会でも議論になった。新市は美祢市立病院(旧美祢市)と共立美東病院(旧美東町、市立美東病院に改称)の2公立病院を抱えるが、06年度は美祢市立病院が約9000万円、美東病院が約1億7000万円の単年度赤字。特に美東病院の累積赤字は約6億7000万円に上っている。

 合併すると決まって浮上するのが再編論議。山陽小野田市は旧山陽町(05年合併)の山陽市民病院を廃院し、民間への譲渡を決定。光市は現在、旧大和町(04年合併)の大和総合病院の存続を巡り話し合いを続けている。

 「地方の病院が抱える財政問題に加え、医師不足などの問題もある。どの自治体も状況は同じ」。藤沢和昭・美祢市立病院事務局長はため息をつく。藤沢さんは合併協議会で病院部会長を務め、住民の訴えに耳を傾けてきた。住民説明会を開くたびに「美東病院は合併でどうなる」「無くなると聞いた」などの質問が殺到した。

 秋芳、美東地域は高齢者が多い割に民間の診療所が少ない。当面、2公立病院を存続させるが、産婦人科がなく市内で出産できないなど課題も少なくない。近く病院の在り方を考える検討会を組織し経営統合なども視野に議論を進める方針だ。

 理想は市民が望む医療の実現と健全な病院経営だが、藤沢さんは「現実は難しい」と険しい表情を見せる。

 再編は病院や自治体に限った事ではない。

 4月1日には1市2町の商工会が合併、新・美祢市商工会が誕生する。会員は個人、法人を合わせて860店だが、旧町の会員は不安そうだ。「多数決では旧美祢市に負ける。祭りなどの伝統行事が続けられるかどうか」

 住民サービスの質を落とすことなく、いかに合併のメリットを享受するのか。大きな課題を抱えたまま1市2町は21日、新たな船出を迎える。(この企画は大村健一が担当しました)

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 ■今日のことば

 ◇高齢化率

 総人口に占める65歳以上人口の割合。1956年の国連報告書は7%超を高齢化社会、14%超で高齢社会と分類。7%から14%に至るまでの時間を「高齢社会の速度」としている。世界的規模で高齢化が進み、高齢者の新たな定義が求められている。

〔山口版〕

毎日新聞 2008年3月20日

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