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温室効果ガス 20年度最大4%削減

2008年03月19日07時03分

 経済産業省がまとめた「長期エネルギー需給見通し」の原案が18日、明らかになった。将来の温室効果ガスの総排出量と社会的負担を今回初めて試算。企業や家庭が最先端の省エネ技術や機器を導入した「最大導入ケース」で2020年度のガス排出量が90年度比4%減になると算定した。ただ、必要な企業や家庭の負担が12年間で計約52兆円になると見積もった。

グラフ

CO2排出量の変化

 見通しの改定は約3年ぶり。19日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の需給部会で示す。化石燃料を使うときに出る「エネルギー起源二酸化炭素(CO2)」の見通しを試算したうえで、メタンなど他の5種のガスも加えた国全体の温室効果ガスの「総排出量」をはじき出した。福田首相が1月のダボス演説で表明した、国別の「総量目標」を議論する際の土台になる。

 総排出量は、京都議定書で認められた森林吸収分(3.8%減)が維持されるとすれば、05年度比では20年度に14%減となり、欧州連合が掲げた削減目標(05年度比では14%減相当)と同水準になるという。ただ、国内総生産(GDP)の1%程度の負担が家庭や企業などに毎年生じる計算で、京都議定書に続く次期枠組み(ポスト京都)に向け、費用負担のあり方が問われそうだ。

 見通しは、総排出量のほぼ9割を占めるエネルギー起源CO2について、(1)05年水準の省エネ機器を買い続ける「現状固定ケース」(2)これまでと同様の省エネを前提とする「努力継続ケース」(3)最先端の機器を価格を問わずに導入する「最大導入ケース」――の三つのシナリオにまとめた。

 「最大ケース」では20年度で90年度比3.1%減、30年度で同15.3%減まで下がると試算。ただその場合、例えば家庭では20年度に新車販売の「2台に1台」が次世代自動車になり、新築住宅の7割に太陽光パネルが導入されるなど計26.7兆円の負担が発生。企業でも、ネットワーク機器の約98%が省エネ型になるなど計25.6兆円の負担が必要としている。

 一方、「現状ケース」ではエネルギー起源CO2は増え続け、20年度で90年度比20.4%増、30年度で同27.3%増になる。「努力ケース」でも、20年度で同8%増、30年度で同6.9%増になるという。

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