東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

首相、道路族に配慮 『廃止』民主と合意絶望的

2008年3月20日 朝刊

<解説>

 福田康夫首相が十九日、自民、公明両党の政調会長に示したガソリン税(揮発油税など)の暫定税率維持を含む租税特別措置法改正案の修正方針は、民主党の主張との隔たりが大きく、このままでは修正で合意するのは難しい。

 民主党は、与党が道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を「丸のみ」する姿勢をはっきりさせなければ、修正協議には応じない構え。四月からのガソリン値下げ実現に向けて、ハードルを高く設定している。

 しかし、首相の指示は暫定税率の見直しに言及していない。さらに、道路特定財源については、時期や額を明示せずに「一般財源化に向け見直す」としただけだ。

 民主党幹部は首相指示について、「ゼロ回答ということだ」と一蹴(いっしゅう)。菅直人代表代行も記者会見で「議論を先送りにする内容が、修正の中身になるとはとても思えない」と強調。首相の指示で双方が歩み寄る可能性は、限りなくゼロに近い。

 首相の指示が、民主党の主張と遠く離れた内容になったのは、自民党の道路族議員に配慮したためだ。内閣支持率が低迷し、求心力の低下が著しい今の首相に、道路族議員を押し切る力はない。実際、ある道路族議員は首相の指示の中身を聞き「おおむねいいだろう」と、満足そうな表情を浮かべた。

 一方、修正に積極的な公明党の中堅議員は「あいまいすぎる。民主党が乗ってくるはずがない。アリバイ的に指示しただけではないのか」と不満を示した。

 自民党の谷垣禎一政調会長は首相から指示を受けた後、記者団に「相当、気合の入った提案だ」と、修正に自信を示した。しかし、前途は険しい。 

  (本田英寛)

 

この記事を印刷する