2008年03月17日
岡田斗司夫の「遺言」第四章
岡田斗司夫が自身の半生を振り返るとみせかけてクリエーターの在り方やオタクの立ち位置について延々と説教と講釈をかます、「岡田斗司夫の『遺言』」イベントもついに第四章に。今回も行って来ましたよ。今回は以前の回にも増して大学の講義のような内容であった。そこいら中で熱心にメモを取る人の姿が多いことも授業っぽい雰囲気に拍車をかけていたのだが、真面目な話が続くと落語家顔負けの一人再現劇で爆笑をとったりと、相変わらずの岡田斗司夫の話術が光るイベントであった。落語2.0で鍛えたのかしら?
笑うだけ笑って何も残らない、というのは勿体無いので、やはり今回も個人的なまとめ記事を残したい。いつも通り、括弧内は私の感想なのだが、それ以外も岡田斗司夫の発言そのままというわけではないのでご注意を。
笑うだけ笑って何も残らない、というのは勿体無いので、やはり今回も個人的なまとめ記事を残したい。いつも通り、括弧内は私の感想なのだが、それ以外も岡田斗司夫の発言そのままというわけではないのでご注意を。
○ 前回までのイベントで面白い話は概ね語り尽くしており、あとは鍋で言えばシメというか落ち葉拾いのようなものなので、あまり期待しないで欲しい。「前売り券がすぐ売り切れた」なんて話はプレッシャー。
○ ガイナックス作品といえば「トップ」や「ナディア」等のアニメが有名だが、ある時期においてはアニメよりもゲームの方が格段に多くの収益を上げていて、会社もそれで持っていた。自分たちも作品の一つという認識で作っていた。そこで今日は改めてガイナックスのゲームについて話したい。前回と被るところもあるけれど。
<当時のエロゲーはポトラッチ話>
○ 前回話した「はっちゃけあやよさん」であるが、ネットでいくら検索しても画像が見つからない。だから、どれだけ「はっちゃけあやよさん」が絵の下手なゲームだったかを示せないが、今話題になっている仏像から鹿の角が生えた奈良県の遷都1300年祭のキャラクターとか、ミニミニマンレベル。
○ 当時、パソコンでエロゲーをやるという行為は、ネイティブアメリカンが自身の地位や財力を誇示する為に、高価な品を送ったり、貴重品を浪費したり、自分の財産をわざと破壊したりする、しかもそれらの行為を競争的に行う、「ポトラッチ」という儀式に近い感覚だったのかもしれない。
○ 当時のパソコンはモニターだけでウン十万円と、非常に高価な品であった。この高価なパソコンで、こんなくだらないことができる!みたいな。森川嘉一郎言うところの「駄目になる快感」みたいな。
○ 効果で高性能なパソコンを用いて、全力で駄目な行為に邁進することが、アナーキーでドライブ感覚に溢れることのように思えた。あれはロックの一種だったのかも。
○ そこにガイナックスが「素晴らしくエロい絵のゲーム」で参入し、「はっちゃけあやよさん」的なゲームを駆逐した。当時はいいことをしたと思ったが、今考えると一つの可能性を潰してしまったのかもしれない。
○ ポトラッチは文明というか文化が進みすぎたから成立した儀式である。「素晴らしくエロい絵のゲーム」というのは、「文明度」は上がっているけど「文化度」は下がっている。つまり、エロゲーというものが抽象的な方向に進化してゆく、別の可能性を潰してしまったのかもしれない(とはいうものの、諸外国から観れば、現代日本のエロゲーや美少女ゲームやエロアニメというものも充分に抽象的だし、そこいら辺がいわゆる”Hentai”としてウけているのだと思う)。
<ガイナックスエロゲー話>
○ どれだけガイナックスが抽象的なものから離れようとしていたかというと、例えば乳首の色にこだわった。当時のエロゲーは、乳首といえば全てピンク色。もっとこう、茶色とか小豆色とか色々あるだろう。「この娘は控えめな性格だからこの色」「いや、控えめだからこそ、もっと濃い色」と、カラーチャートを前にスタッフ内で激論を戦わせた。
○ 乳首の色について熱く議論していると、女子社員達からは「セクハラです」と言われたりした。でも、お前達(その女子社員)の給料はどこから出ているんだ?と言いたくなった。
○ 「電脳学園」の2作目(実際は第一作の改良版らしい)は宮崎県から有害図書指定を受けた。赤井くんは憤り、行政に対して敢然と戦う姿勢を示したが、僕はある意味仕方が無いと思っていた。
○ 「電脳学園」では陰毛一本一本まで書いた。社内では「陰毛(のカット)上がりました!」なんて会話が平気で交わされていた。これは有害だろう、と思っていた。
○ しかし、今後の商売に差し支えるし、業界全体としてもどこまでが有害か明確な基準がないという赤井くんの意見も分かる。
○ 2作目が有害図書指定を受けたということは、1作目と3作目は無害なので、「無害シール」を貼って売ろうと提案したりした。
○ 「電脳学園」はガイナックスゲーム作品における第一世代。第一世代は絵の力で勝負しようとしていた。「電脳学園1」、「2」ときて「3」でとうとう自社キャラを脱がした。庵野くんがノリノリで「トップ」のキャラにひどいポーズをさせたラフを切り、それに貞元くんが何も考えず線を乗せた。
○ 「電脳学園」はかなり売れたが、それでも周囲からはパソゲー業界への参入が4、5年遅いと言われた。確かにあと5年早かったら自社ビルが建てられたかもしれない。
今回も長くなりそうなので、次回に続きます。
○ ガイナックス作品といえば「トップ」や「ナディア」等のアニメが有名だが、ある時期においてはアニメよりもゲームの方が格段に多くの収益を上げていて、会社もそれで持っていた。自分たちも作品の一つという認識で作っていた。そこで今日は改めてガイナックスのゲームについて話したい。前回と被るところもあるけれど。
<当時のエロゲーはポトラッチ話>
○ 前回話した「はっちゃけあやよさん」であるが、ネットでいくら検索しても画像が見つからない。だから、どれだけ「はっちゃけあやよさん」が絵の下手なゲームだったかを示せないが、今話題になっている仏像から鹿の角が生えた奈良県の遷都1300年祭のキャラクターとか、ミニミニマンレベル。
○ 当時、パソコンでエロゲーをやるという行為は、ネイティブアメリカンが自身の地位や財力を誇示する為に、高価な品を送ったり、貴重品を浪費したり、自分の財産をわざと破壊したりする、しかもそれらの行為を競争的に行う、「ポトラッチ」という儀式に近い感覚だったのかもしれない。
○ 当時のパソコンはモニターだけでウン十万円と、非常に高価な品であった。この高価なパソコンで、こんなくだらないことができる!みたいな。森川嘉一郎言うところの「駄目になる快感」みたいな。
○ 効果で高性能なパソコンを用いて、全力で駄目な行為に邁進することが、アナーキーでドライブ感覚に溢れることのように思えた。あれはロックの一種だったのかも。
○ そこにガイナックスが「素晴らしくエロい絵のゲーム」で参入し、「はっちゃけあやよさん」的なゲームを駆逐した。当時はいいことをしたと思ったが、今考えると一つの可能性を潰してしまったのかもしれない。
○ ポトラッチは文明というか文化が進みすぎたから成立した儀式である。「素晴らしくエロい絵のゲーム」というのは、「文明度」は上がっているけど「文化度」は下がっている。つまり、エロゲーというものが抽象的な方向に進化してゆく、別の可能性を潰してしまったのかもしれない(とはいうものの、諸外国から観れば、現代日本のエロゲーや美少女ゲームやエロアニメというものも充分に抽象的だし、そこいら辺がいわゆる”Hentai”としてウけているのだと思う)。
<ガイナックスエロゲー話>
○ どれだけガイナックスが抽象的なものから離れようとしていたかというと、例えば乳首の色にこだわった。当時のエロゲーは、乳首といえば全てピンク色。もっとこう、茶色とか小豆色とか色々あるだろう。「この娘は控えめな性格だからこの色」「いや、控えめだからこそ、もっと濃い色」と、カラーチャートを前にスタッフ内で激論を戦わせた。
○ 乳首の色について熱く議論していると、女子社員達からは「セクハラです」と言われたりした。でも、お前達(その女子社員)の給料はどこから出ているんだ?と言いたくなった。
○ 「電脳学園」の2作目(実際は第一作の改良版らしい)は宮崎県から有害図書指定を受けた。赤井くんは憤り、行政に対して敢然と戦う姿勢を示したが、僕はある意味仕方が無いと思っていた。
○ 「電脳学園」では陰毛一本一本まで書いた。社内では「陰毛(のカット)上がりました!」なんて会話が平気で交わされていた。これは有害だろう、と思っていた。
○ しかし、今後の商売に差し支えるし、業界全体としてもどこまでが有害か明確な基準がないという赤井くんの意見も分かる。
○ 2作目が有害図書指定を受けたということは、1作目と3作目は無害なので、「無害シール」を貼って売ろうと提案したりした。
○ 「電脳学園」はガイナックスゲーム作品における第一世代。第一世代は絵の力で勝負しようとしていた。「電脳学園1」、「2」ときて「3」でとうとう自社キャラを脱がした。庵野くんがノリノリで「トップ」のキャラにひどいポーズをさせたラフを切り、それに貞元くんが何も考えず線を乗せた。
○ 「電脳学園」はかなり売れたが、それでも周囲からはパソゲー業界への参入が4、5年遅いと言われた。確かにあと5年早かったら自社ビルが建てられたかもしれない。
今回も長くなりそうなので、次回に続きます。
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3月11日(火)は「遺言4」です
岡田斗司夫の『遺言』第四章
【出演】岡田斗司夫
2008年3月11日(火??.
岡田斗司夫の『遺言』第四章 3月11日開催【「エヴァ板とガイナスレ用だよ」Blog】at 2008年03月17日 18:30