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シャープとソニー、海外生産など連携強化へ
液晶テレビの開発・販売をめぐってライバル関係にあるシャープとソニーが、基幹部品の海外生産など「連携強化」に乗り出すことが19日、分かった。大阪府堺市で液晶テレビ用パネルの合弁工場を建設している両社だが、海外にも連携の輪を広げ、液晶テレビの分野で世界的な「勝ち組」を目指す考えだ。
堺工場の共同運営に続く第2弾として、シャープは自社の液晶テレビに生産予定だったメキシコとポーランド工場製の部品をソニーに供給する方針だ。
供給量が増えた場合、両社は共同運営の新工場を建設することにしており、すでに検討に入っている。液晶テレビの世界市場の動向を見極めながら、建設する国や投資額など詳細を詰める見通しだ。
シャープがソニーに供給する部品は、パネルに電子部品を組み込んだもので「液晶モジュール」と呼ばれる。シャープはポーランドとメキシコにそれぞれ液晶モジュール工場(テレビ組立工程を含む)があり、総額400億円を投じている。
シャープはポーランド製部品を欧州向け、メキシコ製部品を米国向けの自社製テレビに使う予定だったが、欧米市場での販売不振もあって、堺工場でタイアップするソニーに供給。“協業”を深めることになった。
昨年、液晶テレビの世界シェア(金額ベース)が17%と首位の韓国サムスン電子(18%)に競り負けたソニーだが、シャープから安定的に部品調達を進めることで、首位奪取を図る考えだ。
これに対して、シャープは「欧米で液晶テレビのナンバーワンになるのは難しい」(幹部)と判断、重点地域を日本や中国などアジア地域に絞り込むことにしている。一方、パネルでは堺工場がフル稼働する平成22〜23年をメドに、世界シェア(金額ベース)を昨年の12%から30%まで引き上げたい意向だ。
両社が共同歩調を取る背景には、液晶テレビをめぐる世界的な競争が激しく、単独で巨額投資を負担することが難しい事情がある。
販売数量を増やすために価格下落を余儀なくされる液晶テレビだけに、大手電機メーカーの「戦略的連携」は今後も増えそうだ。