農林水産省は19日、加工食品の原料について食品メーカーなどに原産地の表示を促すための指針をまとめた。中国製冷凍ギョーザの中毒事件などを背景に消費者の食品安全への関心が高まっており、表示の拡大を要請する。ただ中小企業の負担を考慮して義務化は見送り、企業に「推奨」する形にした。具体的な表示方法などを例示するものの、実際に表記するかは企業の判断に委ねる。
食品の原産地表示は、生鮮食品や海外で作った加工食品については日本農林規格(JAS)法で原産地表示が義務づけられている。また、国内で製造した加工食品でも、緑茶や乾燥しいたけなど20の食品群には主な原材料の表示義務がある。今回はそれ以外の加工食品でも積極的な産地表示が進むように手引書を作成し、食品・流通の業界団体などに通知した。
農水省は「まずは対応可能な事業者から取り組むことを推奨する」考え。産地表示で安全性をPRできれば、売上高の増加につながるなどとして、企業の自発的な対応に任せる。経営の厳しい中小企業などでどれくらい浸透するかは不透明だ。(22:54)